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正直、このお題で何をどうしろ、と思いました第九話です。
が…まぁ、何とかなりまし…た?
09.20歳
半ば強制的に連れ戻された二人……刹那とティエリアは、酷く不機嫌そうだった。
無理もない……とライルはコクピットから出た後の二人を見て、思う。そして、あの『アリー・アル・サーシェス』という誰かについてもっと訊きたいのだが、それは少し時間が経過してからの方が良いだろうと判断した。今その話を振るほど、自分はバカではないつもりだ。
では無理矢理にティエリアを止めたアレルヤは……と視線をやると、何だか可哀想なくらいにオロオロとしていた。スメラギの指令に従って二人を連れ戻したものの、まさかここまで酷い反応が来るとは思っていなかったのだろう。
大変だねぇ、と心中で同情して、彼の方をポンと叩く。
「ま、落ち込むなよ」
「……ありがとうございます…」
元気づけてみたのだが、効果はあまりなかった。
どんよりとしている彼の姿を、やれやれ、と見やって頬を掻いた。何と言うか……彼の様子は、見て見ぬフリが出来ないくらいの状態だ。これを放っておくのは、流石に寝覚めが悪いというか何と言うか。
とりあえず、思ったことを一言。
「あの判断は正しかったと思うけどな」
「……本当…ですか?」
「嘘を言う理由がないだろ?」
笑ってみせると、彼も少し安心したように微笑んだ。
こちらは大丈夫だと思って、ふと、残りの二人の方を見たとき……
「アレルヤから離れろライル・ディランディ!」
紫色のヘルメットが飛んできた。
「どぇぇぇぇぇぇぇッ!?」
慌てて受け止めて、ヘルメットの影から恐る恐るティエリアの方へ視線をやる。
彼は、完全にいつも通りだった。
いつも通りの表情で、こちらをジトッと睨んでいた。
……何で睨まれないといけないんだろうか。ちょっと話して励まして、ただそれだけだったのに。というか、こうなった原因は彼らにあるのだから、自分が睨まれる理由なんてそれこそ無いというものだ。
にしても、どうしてこんなに彼からの待遇が悪いんだろうか。やはり初対面の時のイメージとか、そういう物が原因なのだろうか。
「ねぇ、刹那……連れ戻しちゃったから…怒ってるのかい?」
ティエリアから放たれる、殺気にも似た敵意にライルが冷や汗をかいている間に、いつの間にかアレルヤは刹那の傍にいた。逃げたわけではなく、自分と彼の間に漂うピリピリとした空気に気付いていないに違いなかった。
誰か助けてくれないものか、と願いながらもティエリアの繰り出す連続攻撃を辛うじて避けつつ、青と橙のパイロットスーツに身を包んだ二人のマイスターの方に注意を向ける。
そして、自分の見ている中、刹那は……首を振った。
「違う。アレルヤが悪いわけじゃない」
「え……じゃあ、どうして不機嫌なの?」
「……納得できないからだ」
その声の中に深刻な響きを捉え、ライルは本気で意識を全てそちらに向けた。ティエリアも同様だったようで、攻撃は先ほどから止んでいる。
一体、何が納得できないというのだろう?アリー、とかいう相手の主張か。現状についてか。それとも……
そんな事を思いながら見つめる三人に、刹那は言った。
「どうして未だに『クルジスのガキ』なんだ……!?」
「……は?」
「絶対におかしい。俺はもう二十歳は超えた」
「ちょ…ちょっと刹那?」
「だというのに『ガキ』などとは……二十代を舐めているのか!?」
「そう言う問題と違う気がするんだが…」
「違うものか!」
叫ぶ刹那は、常とは違う空気を纏っている。ヘタに反論すると、むしろこちらが痛い目に遭ってしまいそうだ。
「せっかく二十を超えて、今や二十一歳だというのに…納得など出来るはずがない…!」
「あぁ……刹那は昔から大人になりたがっていたものね…」
「ん?そうなのか?」
「えぇ。理由は良く分からないんですけど…」
何でなんでしょうか?
首を傾げる彼に、こちらは肩を竦めてみせる。
彼が知らないことを自分が知っているわけがなかった。
軽く刹那が崩壊してるけど…うん、気にしたらダメです。
というか、二十越えた男に向かって『ガキ』は無いと思いました。