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20. 全てに終わりを、全てに始まりを


 世界は、今日という日を青空で彩っているようだ。何となく分かる。
 あぁ……何て似つかわしくない。
 今から始まるのは、血なまぐさい殺し合い……否、一方的な虐殺であるというのに。
 けれども、それだって止められる自信はある。

「ようはね、戦えなくしちゃえば良いんだよ」
「……それはまぁ、そうだろうが…」
「そして、それはとっても簡単なんだ」

 アレルヤは微笑みながら廊下を歩く。
 今回ばかりは人間たちに感謝するべきだろうか。それとも、現状が自業自得である以上は何も思わないでいるべきなのだろうか。
 どっちにしろ、やることは変わらない。
 ハレルヤとソーマをどうこうするつもりはないし。
 刹那の友人たちを傷つけるつもりもないし。
 ならば、やるべきことはただ一つ。

「滅ぼす滅ぼさないって、そんな話が出来ない所に隔離しちゃえばいいんだよね」
「隔離」
「うん。その場合はそうだなぁ……まだ攻め込まれていないし、彼らとこの城の間に、ちょっとした断層でも作ってみるべきかも」

 まぁ……断層、といっても単なる大地の割れ目ではないのだけど。
 いわば世界の断層。そこだけ他とずれている。喩えてみるのなら、半分ほど占められてしまった扉と言うべきか。つまるところ、出来る人にしかその場所は通り抜けられないと、そういうワケなのだが。

「でもね、それって簡単だけど、単純だからこそ疲れるんだよ……」
「……寝起きで力は足りるのか?」
「あまり無茶をすると暴走するから…そこは無理だけど、ハレルヤたちに頼めば、何とか」

 以人なのかは良く分からないものの……石だけでは力が足りなかったというのに、どうにか自分の力の暴走を食い止めた点から推測するに……何らかの力はあるらしい刹那に強力を頼むわけにはいかない。彼のその分からない力によって自身の暴走は食い止められているのだから、そちらはそちらに回してもらわなければ。でないと、起こしてもらった意味がない。

「というか、頼まれてくれるかなぁ……」
「無理矢理にでも聞かせればいい」
「それこそ無茶だよ……」
「そうか?マリーに、お前の言うことなら二人は聞くと聞いた」
「…うん、ある程度は聞いてくれるけど…」
「ならば問題ない」

 言い切って、刹那は真っ直ぐに自分の銀の目と視線を合わせた。
 本当に、真っ直ぐに。

「これは恐らく、俺の勝手な頼みだ。人間には滅ぼされる理由がある。なのに……それを止めてもらうのだからな」
「そんな……君の言うことは正しいんだよ。滅ぼすなんて、絶対に言いすぎだもの」

 そこは常識と倫理とに照らし合わせれば容易に分かる事実だ。
 慌てて手を振れば、フッと彼は笑った。

「そうか」
「そう…だよ」
「ならば良いんだ」
「……あっさりしてるなぁ…」

 ちょっと笑って、こんなに緊張感が無くて良いんだろうかと笑う。
 多分、良いんだろう。今から行うのは殺し合いではなくて、それを阻止するモノだから。
 コツリと音を立ててテラスに出れば、そこから人間たちの様子を見ていた二人の姿。
 懐かしさに胸をいっぱいにさせて、再び一歩、一歩と歩を進める。

 風に髪を遊ばせながら、静かに目を閉じて口を開いた。



 争いは終わり。僕らだけの平和を始めよう、と。



「…ただいま」






二十日。長かったです…。
おつきあい下さってありがとうございました。
…ちょっと不完全燃焼なところがある気がしますので…そこが心残り、かもしれません。
ともかく、もう一度。
おつきあい下さってありがとうございました!
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