式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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前回の話でスメラギさんから滞在許可が出ましたので。
イノベイターたちも自由に色々始めました。
「へぇ、ここが君達の母艦のブリッジ?中々良い所じゃないか」
突如として聞こえた聞き慣れない声に、フェルトは顔を上げた。
そして見えたのは、ティエリアそっくりの誰か。
……どうして『ティエリアそっくり』と言うことが出来たかというと、それは隣にティエリア自身が立っていたからである。もしもいなかったら、少なくとも見た瞬間は勘違いしただろう。ただし、雰囲気が全く違うので直ぐに気付けたとは思うのだが。
あまりに突然のことに思わず止まっていると、同じくオペレーターの席に座っていたミレイナが、必要はないのに手を挙げて、それから口を開いた。
「アーデさん、この人は誰ですー?双子さんですか?」
「違うよ。僕とティエリアは同じDNAの…」
「赤の他人だ。全く血の繋がりも無いし、そもそも繋がりという物がない赤の他人だ。気になどする必要性はない」
「でも……」
「気にするな」
尚も訊こうとしたミレイナの言葉を遮り、不機嫌そうにティエリアは言った。とてつもなく不機嫌なところを見ると……どうやらその話題はあまり振れない方が良い物らしい。
「で、その人は?」
「イノベイター」
「……え」
今、とんでもない単語が聞こえたような気がするのだが。
いや、きっと空耳に違いない。だってそんな、まさか、である。空耳ではないのならティエリアの冗談だ。最近は彼も冗談を言ったりと柔らかくなっているし、そうだ、そうに違いないのだ。
フェルトは必死に自分にそう言い聞かせた。
しかし。
「イノベイターさんですか?」
「うん。そうだよ」
無邪気なミレイナの問いに、簡単に答えたティエリアのそっくりさんのせいで、その努力も無駄になった。言い聞かせることで作り上げていた防壁が、ガラガラと内側から外側から崩されていくような気分である。
目眩を感じて目を閉じ、額に手を当てている間も二人の会話は続く。
「そうですか!お名前は何と言うです?」
「リジェネ。リジェネ・レジェッタっていうんだ。君は?」
「私はミレイナ・ヴァスティですぅ!以後よろしくです!」
「よろしく。あぁ、でも良かった。CBにも話が分かりそうな相手が、アレルヤ以外にもいたんだね。ホッとしたよ。で、」
視線が向けられたのを感じて、フェルトは目を開けてドアの方を見た。
すると、瞳に映ったのは裏も表もなさそうな笑みを浮かべるイノベイター……リジェネ。それから、隣で腕を組んでいるティエリアだった。セラヴィーのマイスターは未だに不機嫌そうで、今ならその理由は分かるとフェルトは思った。この状況で彼が不機嫌にならないワケがないのだ。
「君の名前は?」
「……フェルト・グレイス」
「へぇ。よろしくね、フェルト」
「……」
その言葉には敢えて応えず、フェルトはチラリと操縦席の方を見た。
トレミーを操縦するための二つの席は、今は空だ。ラッセとアニューは両名共が休憩時間に入っており、今は自動操縦モードに入っている。
ここに二人がいなくて良かったと思う。たとえ出会うのが先延ばしになるだけだとしても、やはり敵がここにいるという事実は驚くしかないことだから。だから、ここにいて彼と邂逅しなかったことは行幸だろう。
ていうか、さっきのリジェネの言葉の中で『アレルヤ以外にも』とかあったが、つまり、彼らはアレルヤの知り合いなのか。……何時の間に。
訝しく思っていたのが顔に出たのか、ティエリアがはぁと息を吐いて口を開いた。
「コイツはアレルヤ誘拐の主犯だそうだ」
「……あぁ、そういうこと」
「そういうことだ」
何となく納得して頷くと、頷き返された。思ったことは一つも間違いなく彼に伝わったようだ。
だって、恐らくこのトレミーのクルーの中で、誘拐犯と知り合いになって(恐らく要すからして)親しくなれるのはアレルヤくらいの物だ。……いいや、今はミレイナも入るかもしれない。彼女のこの、相手を敵と知っていながらの友好的な態度から、それは推して知ることが出来るだろう。
「そういえばレジェッタさん、今回の来訪の目的は何ですか?」
「ちょっと遊びに来たんだよ。大丈夫、裏工作とかしてないから安心して」
そんなことしたら楽しいバカンスが大変なことになってしまうからね。
頭の中はすでに遊ぶことでいっぱいらしいイノベイターを見て、ふと、フェルトは物悲しく思った。
緩急がハッキリしていると言えばいいのだろうが、それでも敵地に来てさえここまでのんびりとした態度が取れる相手が敵だなんて……少し、衝撃的だった。
ミレイナも頓着しないと思うんだ。その時敵じゃなかったならば。
突如として聞こえた聞き慣れない声に、フェルトは顔を上げた。
そして見えたのは、ティエリアそっくりの誰か。
……どうして『ティエリアそっくり』と言うことが出来たかというと、それは隣にティエリア自身が立っていたからである。もしもいなかったら、少なくとも見た瞬間は勘違いしただろう。ただし、雰囲気が全く違うので直ぐに気付けたとは思うのだが。
あまりに突然のことに思わず止まっていると、同じくオペレーターの席に座っていたミレイナが、必要はないのに手を挙げて、それから口を開いた。
「アーデさん、この人は誰ですー?双子さんですか?」
「違うよ。僕とティエリアは同じDNAの…」
「赤の他人だ。全く血の繋がりも無いし、そもそも繋がりという物がない赤の他人だ。気になどする必要性はない」
「でも……」
「気にするな」
尚も訊こうとしたミレイナの言葉を遮り、不機嫌そうにティエリアは言った。とてつもなく不機嫌なところを見ると……どうやらその話題はあまり振れない方が良い物らしい。
「で、その人は?」
「イノベイター」
「……え」
今、とんでもない単語が聞こえたような気がするのだが。
いや、きっと空耳に違いない。だってそんな、まさか、である。空耳ではないのならティエリアの冗談だ。最近は彼も冗談を言ったりと柔らかくなっているし、そうだ、そうに違いないのだ。
フェルトは必死に自分にそう言い聞かせた。
しかし。
「イノベイターさんですか?」
「うん。そうだよ」
無邪気なミレイナの問いに、簡単に答えたティエリアのそっくりさんのせいで、その努力も無駄になった。言い聞かせることで作り上げていた防壁が、ガラガラと内側から外側から崩されていくような気分である。
目眩を感じて目を閉じ、額に手を当てている間も二人の会話は続く。
「そうですか!お名前は何と言うです?」
「リジェネ。リジェネ・レジェッタっていうんだ。君は?」
「私はミレイナ・ヴァスティですぅ!以後よろしくです!」
「よろしく。あぁ、でも良かった。CBにも話が分かりそうな相手が、アレルヤ以外にもいたんだね。ホッとしたよ。で、」
視線が向けられたのを感じて、フェルトは目を開けてドアの方を見た。
すると、瞳に映ったのは裏も表もなさそうな笑みを浮かべるイノベイター……リジェネ。それから、隣で腕を組んでいるティエリアだった。セラヴィーのマイスターは未だに不機嫌そうで、今ならその理由は分かるとフェルトは思った。この状況で彼が不機嫌にならないワケがないのだ。
「君の名前は?」
「……フェルト・グレイス」
「へぇ。よろしくね、フェルト」
「……」
その言葉には敢えて応えず、フェルトはチラリと操縦席の方を見た。
トレミーを操縦するための二つの席は、今は空だ。ラッセとアニューは両名共が休憩時間に入っており、今は自動操縦モードに入っている。
ここに二人がいなくて良かったと思う。たとえ出会うのが先延ばしになるだけだとしても、やはり敵がここにいるという事実は驚くしかないことだから。だから、ここにいて彼と邂逅しなかったことは行幸だろう。
ていうか、さっきのリジェネの言葉の中で『アレルヤ以外にも』とかあったが、つまり、彼らはアレルヤの知り合いなのか。……何時の間に。
訝しく思っていたのが顔に出たのか、ティエリアがはぁと息を吐いて口を開いた。
「コイツはアレルヤ誘拐の主犯だそうだ」
「……あぁ、そういうこと」
「そういうことだ」
何となく納得して頷くと、頷き返された。思ったことは一つも間違いなく彼に伝わったようだ。
だって、恐らくこのトレミーのクルーの中で、誘拐犯と知り合いになって(恐らく要すからして)親しくなれるのはアレルヤくらいの物だ。……いいや、今はミレイナも入るかもしれない。彼女のこの、相手を敵と知っていながらの友好的な態度から、それは推して知ることが出来るだろう。
「そういえばレジェッタさん、今回の来訪の目的は何ですか?」
「ちょっと遊びに来たんだよ。大丈夫、裏工作とかしてないから安心して」
そんなことしたら楽しいバカンスが大変なことになってしまうからね。
頭の中はすでに遊ぶことでいっぱいらしいイノベイターを見て、ふと、フェルトは物悲しく思った。
緩急がハッキリしていると言えばいいのだろうが、それでも敵地に来てさえここまでのんびりとした態度が取れる相手が敵だなんて……少し、衝撃的だった。
ミレイナも頓着しないと思うんだ。その時敵じゃなかったならば。
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