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今回初めてカテゴリーの『Re:その他』を使うのでは。という作品。
003:白
髪まで白くて服まで白い。全身真っ白人間。
まさか本当にそんな存在がいたのかと、グイドの目を通して白蘭を見た骸は少し驚いた。全身真っ黒な人間は何度か見たことがあったけれど、真っ白がいるとは思っても見なかった。こんなに若いのに白い髪って本人からするとどんな気持ちなのだろう。
その上、好物が白いマシュマロというのも白さに拍車を掛けている。
…のはおいておくとして。
骸はため息を吐いて、グイドの顔で白蘭の手からマシュマロの袋を取り上げた。
「白欄様、これ以上はダメです」
「えー?まだ食べたりないのに」
「ダメと言ったらダメです。あんまり食べていると虫歯になりますよ」
「大丈夫だって」
「大丈夫、と言った人間が大体は虫歯になるんですよ」
などと言っては見るが、実際がどうなのかは骸には分からなかった。少なくとも、ダメだというのにガムをかみ続ける犬が虫歯になるところは見たことがなかったが……彼の場合は色々と規格外だから比べるのは無駄だろう。
残りの二人は注意すればちゃんと食べるのを止めたし……やはり周りには喩えられそうな人間がいなかった。残念だ。
しかし、そうであっても白蘭のマシュマロの量は多すぎる。
敵なのにどうしてこんな世話を焼いているのだろうと心中で思わず苦笑するが、何てことはない、彼が虫歯になるような事態は避けたいからである。
考えてみて欲しい。最終決戦などで、敵軍の対象が虫歯のために気を取られて隙を作り、そこを突かれて倒れてしまうと言う光景を。もちろん、それも勝利の姿として有り得なくはないだろう。むしろ楽をして倒せるのならば虫歯になってもらった方が良いだろうが、ハッキリ言う。自分から見ると、そんな終わりは。
軽く嫌だ。
「ともかく、ダメですからね。歯磨きをして寝てください」
「ぶー、レオ君のケチー」
「何とでもどうぞ」
ぶーぶーと不平不満をこぼす白蘭を軽くかわしつつ、骸はマシュマロの袋の口を輪ゴムで止めた。
日夜こうやって、骸はちゃんとしたエンディング目指して頑張っているのだった。
本当のエンディングまでは大変そうだ…。