執務室に入ると、中に何故か獄寺と山本が居座っていた。
思わず、半眼。
「……テメェら何の様だ」
「あ、ザンザス。遅かったなー。朝はちゃんと起きないと駄目だぜ?」
こちらの不機嫌さは伝わっているだろうに、そう言って雨の守護者はニッと笑う。
十年前から変わらないその明るい笑みに眉を寄せ、まだ話が通じそうな嵐の守護者の方に視線を向ける。
現ボンゴレの右腕は、ちらりと相棒に呆れた表情を向けてから、こちらを見た。
「お前、十代目がどこにいらっしゃるか知らねぇか?」
「……綱吉?」
「あの人が向かうとしたらここかと思ったらここにもいねぇし……お前は知らねぇか?」
成程、そう言うわけでここにいたのか。
彼らがここにいた理由は理解したが、しかし、果たしてここで素直に教えてやっても良いものだろうか。……いや、別に教えてやっても問題は無い。言わない事でこちらにメリットがあるわけでもないし、むしろ言って両名をこの部屋から追い出すべきだと思う。ただ、問題が一つ。
綱吉が今いる談話室には、何故か初代も存在するのだ。
流石に自分でも、あんなのがいる場所に彼らを追いやるのは躊躇われる。
が。
「……談話室だ」
嘘を言ってもどうせばれるのだし、綱吉一人では初代を完全に抑え込めるか分からない。ならば獄寺と山本を送りこんで、少しでも初代があの部屋から外に出ないようにしておくべきだろう。
まぁ、要するに生贄。
「そっか。んじゃ行ってみるな。行こうぜ獄寺」
「先導してんじゃねぇよ」
……そんなこちらの意図など知らないままに、二人の守護者はあっという間に室内から消えてしまった。
それを認めてから、執務室の扉を閉める。
そういえばどうして初代と綱吉がここに来ていたのかは分からなかったが、もう、そんな事はどうだっていい。
とにかくこれ以上面倒な事に巻き込まれないように、今日は一日中ここにいる事にすることにしよう。
(END:2 執務室で一日を過ごす)