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いい加減に『並盛』というカテゴリはどうだろーと思い出したのですが…まぁ、いっか。
出てくる二人とも、並盛といえば並盛だけど、なんかね。
013:死に近き
じりっと進めば、相手も同じように後退した。一歩進めば一歩後ずさる、といった様子で。捕まったら終わりだというような様子で。
実際にそれは正しい。何故なら。
追いかけられている十年後ランボは丸腰で、追いかけているビアンキは両手にポイズンクッキングののった皿を持っているからである。あと、肩から掛けているショルダーバッグの中にはこれまたポイズンクッキングのマフィンが入っている。
完全なる戦闘態勢である。
「覚悟なさい!…今日こそ息の根を止めてあげるわ」
「ひぃぃぃっ!」
恐怖に顔を歪めて、その後直ぐに十年後ランボはダッシュを掛けた。そのまま逃げ切ろうという魂胆らしい。
だが、その程度を予測できないで暗殺者などやっていけるわけもないのだ。
ビアンキは、素早く右手に持っていたチャーハンを十年後ランボの後頭部辺りに投げつけた。そして、叫ぶ。
「こちらを向きなさい!」
「っ!」
知っているのだ。強く命令口調で言うと、彼は決して逆らうことなど出来ないのだと。致命傷だと分かっていても、体が勝手に反応してしまう……一言で言えば考え無しというのが一番該当するところか。あと数秒でも考える時間を取れば大分違うのに、と一体何度思ったことだろう。
そして今回もいつもと同じように振り返ってしまった十年簿ランボの、顔面にべちゃりとチャーハンが激突する。
「……ーっ!」
声にならない声で悲鳴を上げながら、両手で顔面を覆ってゴロゴロと道路を転がる彼を見下ろし、ビアンキは第二陣を用意した。これで確実に息の根を止めることが出来る。
「…」
しかし、結局その手の中の物が落とされることはなかった。
別に彼を殺しても意味がないのは分かっているし、むしろ殺した方が弊害が出るのも分かっているし、殺す気がないのも事実だ。この追いかけっこはもはや習慣の物なのである。
けれども、こんなことを続けていたらその内死ぬかもしれないな、と思わなくはないが。
「……まぁ大丈夫でしょ」
未だに転げ回っている十年後ランボを眺めながら、ビアンキは呟いた。
ランボ…ファイト。
こういうことって結構良くあるんだろうけど…十年後はどうなってるんだろうか。