[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
何か、弟妹同盟シリーズが出来上がりそう…な予感が。
……ま、それも良いか。
「テメェらいい加減にしろぉ!」
部屋だった場所に響き渡った声に、雲雀たち三名は思わず動きを止めた。
見るまでもなく分かることなのだが、入り口があった場所に立っているのはスクアーロ。仕込まれていた剣は左の腕でしっかりと姿を現して存在を主張している。こちらを攻撃するための物ではなく、おそらくは威嚇あるいは警戒のために(可能性としては後者が高い)あらかじめ出していたのだろうと推測された。
そして、その剣でズビシッと部屋だった場所を指して、スクアーロは叫んだ。
「部屋の跡形ねーじゃねぇか!」
「壁と天井が無くなっただけだ」
「床が抜けてないだけマシってか?ざっけんなぁッ!」
「スクアーロ、壁をやったのはザンザスだけだから」
「じゃあお前はその床のヒビワレかぁ!?」
「あ……それ私」
「そっちかよ!」
「僕はザンザスしかやってない」
「そのせいでボスさんが天井やら壁やらかっ消したんだろーがぁ!」
「ワォ、どうして分かったの?」
「それくらい話を聞いときゃ分かる!」
そう大声を上げた後に、ガクリと脱力するスクアーロ。何かを諦めたようだが、何を諦めたのかは雲雀の知り及ぶところではなかった。
剣をしまって、鮫は溜息を吐いた。
「…しばらくこの部屋使えねぇなぁ……」
「部屋からでも空が見えるものね。雨が降ったら大変だよ」
「そうしたのはテメェらだからなぁ……連帯責任だ、連帯責任。つーわけでテメェら三人で修理代出せぇ」
「スクアーロが言うなら…」
素直にクロームが頷き、雲雀も異論はなかったので沈黙を持って肯定した。ザンザスだけは不機嫌そうな表情だったが、結局は何も言わずにそれで落ち着いた。
いざとなれば綱吉にでも出させれば良いし、骸に協力させるのもアリだろう。あの南国植物はクロームのことになると本当に過保護だから、ちょっとでも事情を話せば直ぐにでも行動を開始する……前に、ザンザスを抹殺しようとするだろう。彼と自分たち、というかこの場合はクロームが戦ったのは事実で、彼女を傷つけようとした相手を骸が許しておくとも思えない。
……後でこっそりと話しておこうか。
「ボス、仕事どうすんだ?流石に書類だけは避けたみてぇだけど」
「ここじゃ出来ねぇな……」
「だろ。談話室は止めとけぇ。ベルが帰ってるから仕事どころじゃなくなる」
「ならテメェの部屋に行く」
「それが無難なところだなぁ。邪魔も入らねぇだろ」
ザンザス抹殺計画(骸巻き込みver)を練っていた雲雀は、その言葉に思わず肩を揺らした。見れば、クロームもやや顔を強ばらせている。
「…ちょっと待って、ザンザスの部屋は?」
「……ここと似たような状況だから…色々と無理だぁ」
顔を逸らせつつ答えるスクアーロ。腕を組んで面白そうにザンザスが彼を見やっていることからも、どうやらその時の当事者はこの鮫であるのだろうと推測された。同時に、ザンザスだって当事者になるのだろう、だって舞台は彼の部屋。
そして、その今回も前回も関わっているだろう男が口を開いた。
「あっちの方が酷いだろうが」
「う゛っ……」
「ハッ…テメェも他人のこと言えた義理じゃねぇな」
「うるせぇ!てか、あん時の修理代が何で俺の個人負担になってんだよ!」
「どうして俺が払わねぇとなんねぇんだ」
あぁ、成る程。連帯責任はこの経験があったからこその提案なのか。
喚くスクアーロとしれっと答えるザンザスを眺めながら、雲雀はそんなことを思った。あながち間違っていないだろう。
しかし、そんな話は今は良いのだ。
今、一番の問題はそう、スクアーロの部屋にザンザスが行くことなのだ。
それは困る、というか嫌だ。夜中には帰る予定があるが、そんなの無視して今日は彼の部屋に泊まろうとかさえ思っていたのに、これではそれさえも不可能になってしまうではないか。不可能でなかったとしても、ザンザスと同じ部屋で寝るのは遠慮したい。
などと思い、雲雀はクロームと顔を見合わせて頷いた。こう言うとき、自分たちの思いは殆ど一緒だから良い。
「う゛お゛ぉい!お前ら何やってやがんだ!」
「……やっぱり中途半端は悪いと思って」
「やるならしっかりと咬み殺さないとね」
再度武器を構えた自分たちを見とがめて叫ぶスクアーロには悪いが、敵は倒しておくにこしたことはないのだ。同じファミリー内だと言うけれど、正直そんなのどうだって良い。
どうせもう、部屋がどうのと考える必要性も無い。部屋は既に『部屋だったところ』となりはてているのだから。これなら思い切り戦えるし、相手をたたけるし、咬み殺せる。良いことづくしだ。
弟妹同盟最大の障壁はザン様だと思う。