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マーモンだって一応赤ん坊なんだし、甘えたりしたらいいと思うんだ。リボーンとかみたいに。
性格からして、ちょっと無理そうな気も、しなくはないけど…。
021:子供
たまに、酷く不思議な気分になる。
アルコバレーノというのは最強の赤ん坊だ。赤ん坊なのに最強で、最強であっても赤ん坊である彼ら。誕生がどのようなものであったのかは知らないが、それでも彼らの体が赤子の物である事実に変わりはない。
その赤ん坊が、どうしても赤ん坊だと思えない態度であることが。
「マーモン、眠くない?」
「眠くないと言ったら嘘になるけど、これが終わるまでは眠らないよ。今が丁度売り時なんだ。偶然だろうと折角手に入れた株式だもの、効果的に使うよ」
欠伸をしながら答えるマーモンが向かい合っているのはノートパソコン。前回の任務でのターゲットが大量の株を持っていたのだが、それが何やかんやで彼の物になったためにこうして株取引を行っているらしい。株はあまりしないから、と無難な今の値段で手を打とうと考えているそうだ。無難な、と言っても結構な金額が入る。
にしても、株取引をする赤ん坊…とは。
慣れてしまったからさほど気にはならないが、これって一般的に有り得ない光景じゃないだろうか。ていうかあったら怖いのでは。慣れたから自分は大丈夫だけど。
「コーヒーでも淹れてあげましょうか?」
「気遣いには感謝するけど遠慮するよ」
「じゃあ、ホットミルクはいかが?」
「…ルッスーリア」
マーモンが手を止め、こちらを見上げた。フードで目元は見えないが、口元から読み取ることが出来た感情は……呆れだろうか。
「僕は子供扱いされるほど子供っぽいつもりはないよ?」
「分かっているわ。私が子供扱いしたいだけよ。見た目は子供なんだもの」
「見た目で判断する愚かさは知っていると思うけど」
「あら、少なくとも見た目は嘘を付かないわよ?」
変装されることもあるが、それはつまり正体を知られたくないのだという本心を表している。そこに間違いなどない。
そして、マーモンは中身はどうであれ姿は赤ん坊なのだ。
「それにね、私がお節介なのは今に始まったことではないでしょう?」
「…それもそうだね」
諦めたようにため息をついて、じゃあ、とマーモンは口を開いた。
「ホットミルク、お願い」
最終的には折れちゃうマーモン。