お題：青 12.てるてるぼうず

この二人は果たして「てるてるぼうず」を知っているだろうか。
そんなことを思いながら書きましたが…どうだろう、知ってるんだろうか。

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12．てるてるぼうず



　ざぁざぁと降りしきる雨を眺め、アレルヤは小さく息を吐いた。
　折角、明日は刹那と出かけようという話があったのに。ちょっと楽しみにしていただけにこの雨の到来は悲しい。天気予報では明日の夕方まで続くと言うし、夕方には自分はミッションへと向かわなければならないのだ。
　だから、出かけるには雨に止んでもらわなければならない。それが第一条件だ。
「お供え物でもしたら止んでくれないかな……」
「それは無理だと思うが」
「…やっぱり？」
　冷静なツッコミが横に座っていた刹那から入れられ、アレルヤは苦笑を浮かべた。そのくらいは自分でも分かっている。もしかしたら……なんて淡い期待が無いと言えば、嘘になるだろうけれど。
「じゃあ、手紙でも書いてみようかな…」
「誰に出す気だ？」
「…それもそうだね。えっと……なら…何があるかな……」
「……どうしてそんなに熱心なんだ？」
「え？」
　唐突な質問にキョトンと視線を返すと、刹那は呆れたようにこちらを眺めていた。
「明日の外出に深い意味は無いだろう」
　……何か難しい言葉だけれど、これは、どうして自分がこんなに明日の外出に熱心なのかという質問、なのだろうか。
　ちょっとだけ考えてそうだろうと見当づけて、アレルヤは言った。
「だってさ、こうやって一緒に平和に出かける事なんて、これから何回あるか分からないじゃないか。予定が合わないときだってあるよ、きっと」
「だから、か？」
「うん」
　心の中でハレルヤは『…くだらねぇ』なんて呟いているけれど、やはりこういうことは大切だと思う。いつ死ぬかも分からない自分たちだし、ならば出来る限りの時間を使って仲良くしていたいと思うのは道理ではないだろうか。
　まぁ、それも相手がどう思っているかによって変わってくるのだけれど。
　どうだろうと恐る恐る刹那の顔を伺う。
「……迷惑かな、こういうのって」
「いや、そんなことはない」
　いつものような無表情に近い表情で刹那は答えた。
　が、それだけで十分だ。答えてくれたことに加えて、刹那の表情に若干の笑みが加わっているのをアレルヤは認めたのである。結構付き合いは長いし、実は刹那の表情がコロコロと変わるのも分かっている。今回は少しばかり控えめな変化だったが、それでも問題なく彼の感情は読み取れる。
　直ぐに表情を緩ませたアレルヤは、なら、どうしようかと刹那に問いかけた。
「何か良い案はある？」
「……そういえば、隣に住んでいるのに『てるてるぼうず』とやらの事を聞いた」
「『てるてるぼうず』？何だい、それは？」
「良く分からないんだが……ティッシュペーパーなどで作る人形もどきらしい」
「ティッシュペーパーで？…勿体なくない？」
　どうせなら布か何かの方が良いのでは。そちらの方が長持ちだし丈夫だ。
　そう思って首をかしげたら、刹那も同意を示すように頷いた。
「俺も思った。だがティッシュペーパーで作る物らしい」
「そうなんだ……」
　ならばあまりそこには触れるべきではないのだろう。
「作り方は？」
「簡単な物ならティッシュペーパーを二枚用意して出来るらしい。一枚は軽くクシャリと丸め、もう一枚でそれを覆うらしい」
「丸めた分をくるんだところは頭、ってこと？」
「あぁ。あと……」
　若干言いにくそうに、刹那は少し言葉を濁した。
「……中にくるんだティッシュペーパーが出ないように…人形で言う首の辺りに、その……紐を、巻くらしいんだが」
「首に紐！？それって危ないんじゃ！？」
　ていうか酷い気がする。
「その上、その紐で天井からぶら下げるらしい」
「……え？」
「その様子はさながら首吊り、」
「あー、良い！それ以上は言わなくて良いよ刹那！」
　もう殆ど言ってしまっているし。
　そうか、と呟いて黙った刹那に、アレルヤは天井を仰いで呟いた。
「何でそんなのがあるんだろ……」
「俺の方が知りたい。沙慈…隣のに訊いても答えてもらえなかった」

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あ、あと、てるてるぼうずって、雨がやまなかったら首をちょんぎるらしいですよね。