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「ヴァーチェ、セラヴィーを捕獲した」
「……そうか」
「あと刹那も来た」
「そう……は?」
エクシアの言葉に顔を上げると、そこにいたのは確かにセラヴィーと、刹那だった。キュリオスとアリオスの姿は見えなかったが。
一体どうして、と混乱していると偶然会った、とケルディムが言った。
「何かお前ら知り合いらしいけどよ……俺には正直いきなりすぎてさっぱりだったんだけどな。信頼できるヤツなんだよな?」
「それを何故、俺に確認しようとする」
「エクシアよりは採点厳しいかなぁって思っただけだけど?」
それが何か?というケルディムの反応には、何も言わなくて良いかとヴァーチェは思った。彼の言っていることに間違いはない。確かに、エクシアよりは自分の方が採点は厳しいだろう。
「問題ない。彼は信頼に足る人間だ」
「そ。なら良……」
「ねぇねぇ聞いてよヴァーチェ!ほら、例の昔の大昔の記憶を引き継いでる『ひと』たちがいるって言ったじゃない?彼ね、何と驚くことにそーいう人だったんだよ!さっき確認したから間違いないんだって!凄くない!?君たちと偶然知り合った人がそういう人間だったんだよ!これって奇跡って言うかもういっそ必然とかだよね!僕さ、凄く感動したんだよこの偶然にって痛っ!?」
「やかましいからだ」
ケルディムの言葉を遮るように喋り出したセラヴィーの頭を思い切り叩いて、ヴァーチェは改めて刹那の方を見た。
何かちょっと疲れてる感じだった。
それだけで彼がセラヴィーの被害に遭ったのだと分かったヴァーチェは、詫びるように頭を下げた。彼のこのまくしたてるような言葉の奔流は慣れないと辛い。だろう
「すまないな」
「いや……慣れた。昔から周りには濃いキャラばかりだったからな……」
「そうなのか?」
「…あぁ」
頷く刹那は、どこか遠い世界を眺めているように見えた。
……触れてはいけない箇所らしい。ならば触れてやらない方が良いだろう。自分たちとは関係など無いだろうし、触れる必要もない。
「で……キュリオスとアリオスは?」
「あの二人はね、僕とはぐれていなくなったんだ。あの二人も結構おっちょこちょいだよね……ってまた痛っ!?ちょっとヴァーチェ!髪は引っ張らないで禿げる!」
「知るか」
デュナメスの問いへの答えは間違いなく本当とは違う。おおかた、セラヴィーが自分からはぐれるかどうにかしたのだろう。
ならば、あの二人はそのうち自分で帰ってくるだろうと見当づけて、ヴァーチェは視線を巡らせて……ちょっとため息を吐いた。
「どうして君たちは見つめ合っているんだ……?」
「いや……」
「別に……」
どうしてだか、刹那とダブルオーが互いに目を合わせたまま動かなかったのだ。
しばらく黙ったまま見つめ合っていた二人だったが、数秒後、ガシッと手を握り合った。どうやら何かが通じ合ったらしい。何が通じ合ったかは知り及ぶ箇所ではないのだが、少しばかり気にはなる。訊かないが。
「で…俺らはどうすんだ?」
「デュナメス…簡単な話だ。セラヴィーを懲らしめる」
「え…ちょ……ちょっと待ってヴァーチェ…」
「問答無用だ。覚悟しろ」
「う…あ…ぎゃぁぁぁぁ!?」