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番外編・4
それにしても不思議な呼び名だ。私は『王』と『世界』を見て思う。それは名前と言うよりは呼称だろう。名前を多く持つから呼称で呼ばれたいのだろうか。それでもあまりに呼称が大それている気がする。
なのだが、それでも何だかしっくり来るところが不思議である。もう、二人はそういったものであると世界が認めているようで…と、そういえば世界は『世界』がいるので認める物としては何か違うのか。
では何が認めるのだろうか。二人が『王』で『世界』であると。
これは何気に難しい問題な気がする。
「あ、オーガンダム、あっちの部屋って空いてるの?」
「はい。あちらは客室ですから。…泊まるのですか?」
「まぁね。積もる話もあるし、オーガンダムとももう少し話したいし」
ね?と『王』は笑う。
その笑顔を見るたびに、私は全ての国の王がこうであればいいのにと、ふと思う。そうすれば世界から争いは消えて、さぞかし平和な世の中になるだろうに。
しかしそうもいかないのだろう。人間は異端を敵とし、異端は人間を見下している。一部分一部分を見ると必ずしもそうではないけれど、全体を取ってみるとそうでしかない。
悲しいことなのだと、お父様は言うけれど。
私は仕方がないのだろうと、思っている。
異なる生き物を虐げるのは、己が確立するためなのだから。
そう思ってそういえば、彼らはどの種族なのだろうと疑問を抱く。人間も異端も見た目は殆ど同じパターンが多いから、本人に訊かなければおおよそは分からない。
「…『王』、ちょっと良いでしょうか」
「何かな?」
「貴方は人間ですか?異端ですか?」
「えぇっとねぇ……」
すると『王』は困ったように笑った。答えあぐねているようだ。
そんなに難しい問いだっただろうかと、私は少しだけ反省した。どちらか答えるだけなのだから簡単かと思ったらそうでもないらしい。
「答えにくいのならば無理をしなくても…」
「あ、いや、そうじゃなくってね…僕ら、どっちでもないし、どっちでもあるから」
「……え?」
それはどういうことなのだろうか。
理解の追いつかない頭をどうにか回転させ、『王』が今口にした事柄を思い出して租借する。それは、つまり…
「…どういうことなんでしょう?」
「……だよねぇ、それが普通の反応だよねぇ…」
…どういうことか分からなかった。
頑張っては見たのだけれど。
「あのね、僕らには人間の血も、異端の血も流れている……ということなんだ。更に言うと、それ以外の種族の血も流れてる」
「それ以外の種族?」
「じき、君も見るかもしれないね」
三番目と、四番目の種族を。
そう言って笑む彼を、私は見上げた。
「では、あなた方は零番目、ということですか?」
「ハジマリ、という意味ではそうかもね。よく、分からないけど」
「…そうなんですか」
「その辺りはもう一人に訊いた方が分かりやすいよ」
そう言って、ただし、と『王』は付け加えた。
「彼が素直に言うかは保証できないんだけどね」