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やってここまで来れた…この二人のやり取りは書きたかったんです。
033:風化
同窓会?と問い返すスクアーロに、そう、とディーノは頷いて見せた。
「面白そうだからやろうって事になってさ」
「面白そうって何だぁ……ってか、言い出したのは誰だ」
「え?俺だけど」
「行かねぇ」
自分を指さして首を傾げてみれば、断定と共に翻る銀糸。
「え、いやちょっと待てよ!」
ディーノは慌ててスクアーロの右腕を掴んだ。
「何で帰ろうとするんだよ!しかも俺主催って聞いて直ぐ!」
「自分の胸に手を当てて訊いてみろやぁッ!……てか…」
と、じろりとスクアーロに視線を向けられて、たじろぐ。こんな目を向けられるようなこと、何かしただろうかと首を傾げると、はぁ、と疲れるため息。え?と思った次の瞬間に、彼の表情はどこか疲れた物になっていた。
「部下、いねぇだろ」
「へ?」
「だから、その同窓会とやら、部下を連れてはいかねぇだろ」
「うん、まぁ同窓会だし」
同窓会というのはつまりは、元は同じクラスだった面々が集まって仲良く昔のことを話してみたり、近況を報告し合ったりする会だと思う。だから、そこに部下を連れて行くのは何か違う気がする。
が、それがスクアーロには問題らしい。分かってねぇなコイツ、と言わんばかりの表情で彼は口を開いた。
「そうなったらなぁ、間違いなくテメェの世話係が俺になるだろ……」
「えぇ?別に良いんじゃない?昔に戻った感じで」
「良いわけあるかぁッ!んな昔に誰が戻りたいと思うかッ!」
「けどさ」
「あ゛?」
胡乱げにこちらを見る鮫に、軽く笑んで言う。
「たまには昔に戻るのも良いと思うぜ?」
だって、過去はあっという間に風化する物だから。
ディノの言うことも正しいかもしれないけど、絶対にスクは戻りたくないに違いない。