式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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だから、機体が一番複雑な気持ちなんだよと主張してみる。
だって、みんなどんどん自爆しようとしてくださるから。自爆する張本人としては複雑でしょう。
気分は?と目で問いかけると問題ない、と答えが返ってきた。
それはそうだろうなと、ヘビーアームズは問いかけた本人でありながら頷いた。ことあるごとに自爆をしようとしていて博士たちを困らせていた彼だったし、その反応は十分に有り得る反応だった。というか、それ以外の反応は有り得ない気がする。
ここで全然ダメだとか答えが返ってきたらそれこそ驚きというか。
念願の自爆がようやくなされたのだから。
これは喜ぶべき事なのかどうなのかと首を傾げながら、ヒイロが寝ているベッドの端に腰掛けて、立って壁にもたれかかっているウイングを見やる。自爆した後は本当に体の節々が痛かったそうだけれど、今はそんな様子も見せることはない。本体の方はともかくとして、精神体の方はしっかりと回復したらしい。こちらは間違いなく喜ぶことだろう。仲間が元気でいる姿は見ていて嬉しい。
思わず笑みを浮かべていると、チラリと彼から視線が投げかけられた。
「それよりも、問題は俺ではなくお前だ」
「…?」
「自爆を行うという話、だ。ヒイロも言っていたが、自爆は死ぬほど痛いんだぞ?」
それはまぁ、自爆なのだからそうだろう。
こくりと頷いて、それから軽く首を振った。分かっているという返事と、大丈夫だという返事を込めて。
しっかりとそれを理解してくれたらしいウイングは、それでも渋い顔で今度は窓から外を眺めた。つられて視線を同じ方向へと向ければ、見えるのは緑の木々。心を癒す効果でもありそうなそれだけれど、全くと言っていいほどに今の自分に効果はなかった。
OZがコロニーを盾に取ると言って一ヶ月経った。
一ヶ月経っても、何の進展も起きなかった。
何の進展も起きないから、どんな行動も出来ないままに時は過ぎた。
それがどれ程までに辛いことか、よくよく分かった。身をもって知らされたと言うべきだろうか……まさか、これほどまでに指をくわえてみているしかない、という状態が苦しい物だとは思っても見なかったのだ。
別に、戦いが好きだというわけではない。戦っていないと生きていられないというわけでもない。だが、それが自分たちの存在理由であることは分かっている。
「…道具にとって存在理由を果たすことだけが、全て」
「……突然何を言い出すかと思えば……そんなことか」
もっと別に言うことはないのかと呟かれたが、現状でそれ以外に言える事なんてどこにも無いに違いない。
あぁ、でも、とウイングを見る。
存在理由を果たし終えた彼は、今はどういう存在なのだろう。それは気になる。
それは自由なのだろうか。自由に見えて束縛を与えられているのだろうか。それとも自由という名の束縛を与えられているのだろうか。
分からないし、きっと訊いても分からない。
これはそういう類の疑問だ。
「…俺には、関係出来ない話だな」
まるでそんな自分の思いを読まれたかのような言葉に、少しだけ心臓が跳ね上がる。悪いことを考えていたわけではないのだが、図星を指されるような言葉に対しては驚くことしかできなかった。
「しかし……そうだな。今の俺たちには何もないな」
「……」
「俺たちはOZを叩きつぶすための道具だったんだがな……それを行いコロニーまで危険にさらしては本末転倒だ」
「……」
「あぁ、その通りだな。そうであったとしても、使われなければ道具としての意義はない。俺たちはそれを自覚し続ける必要がある」
もしも自分たちが『道具だ』という思いを失ってしまったら。その時、きっと自分たちは今の自分たちという『存在』を放棄する。誰かに使われる前に、自分たちで動いてしまうだろう。そしてその時、別に目を付けられている本体で動かなくても良いのだ。
何も本体でしかこの世界に介入できないわけではない。人の姿を取るこの精神体……それの実体化した姿でも、いくらでも介入手段はある。
やってはいけない、出来ることだけれど。
少なくともウイングが何かをやらかさない限り自分には出来ないだろうと思う。今、本体を失ってパイロットは傷ついて、一番ヤキモキしているのは彼だ。だから、それを間近で見ている自分は……そう思って、ふっと顔を上げた。
そんな自分の様子に気付いたのか、ウイングが口を開く。
「もう出番か?」
「……」
頷いて立ち上がり、部屋を出ようと足を進める。
「するのか、自爆」
丁度部屋の出入り口から出ようとしたところで問われ、ヘビーアームズはくるりと振り向いてウイングの方を向き、静かに笑みを浮かべた。
自爆なんて本当はして欲しくない。ウイングのパイロットはそれをやっても生きているが、それが異常なのであって普通は死ぬ。
パイロットには、あまり傷ついて欲しくはない。
けれど、それを彼が求めるのなら、道具である自分は。
「それがトロワの望みなら」
小さく呟いて、とん、と部屋から出た。
色々と難しいなぁ…。
それはそうだろうなと、ヘビーアームズは問いかけた本人でありながら頷いた。ことあるごとに自爆をしようとしていて博士たちを困らせていた彼だったし、その反応は十分に有り得る反応だった。というか、それ以外の反応は有り得ない気がする。
ここで全然ダメだとか答えが返ってきたらそれこそ驚きというか。
念願の自爆がようやくなされたのだから。
これは喜ぶべき事なのかどうなのかと首を傾げながら、ヒイロが寝ているベッドの端に腰掛けて、立って壁にもたれかかっているウイングを見やる。自爆した後は本当に体の節々が痛かったそうだけれど、今はそんな様子も見せることはない。本体の方はともかくとして、精神体の方はしっかりと回復したらしい。こちらは間違いなく喜ぶことだろう。仲間が元気でいる姿は見ていて嬉しい。
思わず笑みを浮かべていると、チラリと彼から視線が投げかけられた。
「それよりも、問題は俺ではなくお前だ」
「…?」
「自爆を行うという話、だ。ヒイロも言っていたが、自爆は死ぬほど痛いんだぞ?」
それはまぁ、自爆なのだからそうだろう。
こくりと頷いて、それから軽く首を振った。分かっているという返事と、大丈夫だという返事を込めて。
しっかりとそれを理解してくれたらしいウイングは、それでも渋い顔で今度は窓から外を眺めた。つられて視線を同じ方向へと向ければ、見えるのは緑の木々。心を癒す効果でもありそうなそれだけれど、全くと言っていいほどに今の自分に効果はなかった。
OZがコロニーを盾に取ると言って一ヶ月経った。
一ヶ月経っても、何の進展も起きなかった。
何の進展も起きないから、どんな行動も出来ないままに時は過ぎた。
それがどれ程までに辛いことか、よくよく分かった。身をもって知らされたと言うべきだろうか……まさか、これほどまでに指をくわえてみているしかない、という状態が苦しい物だとは思っても見なかったのだ。
別に、戦いが好きだというわけではない。戦っていないと生きていられないというわけでもない。だが、それが自分たちの存在理由であることは分かっている。
「…道具にとって存在理由を果たすことだけが、全て」
「……突然何を言い出すかと思えば……そんなことか」
もっと別に言うことはないのかと呟かれたが、現状でそれ以外に言える事なんてどこにも無いに違いない。
あぁ、でも、とウイングを見る。
存在理由を果たし終えた彼は、今はどういう存在なのだろう。それは気になる。
それは自由なのだろうか。自由に見えて束縛を与えられているのだろうか。それとも自由という名の束縛を与えられているのだろうか。
分からないし、きっと訊いても分からない。
これはそういう類の疑問だ。
「…俺には、関係出来ない話だな」
まるでそんな自分の思いを読まれたかのような言葉に、少しだけ心臓が跳ね上がる。悪いことを考えていたわけではないのだが、図星を指されるような言葉に対しては驚くことしかできなかった。
「しかし……そうだな。今の俺たちには何もないな」
「……」
「俺たちはOZを叩きつぶすための道具だったんだがな……それを行いコロニーまで危険にさらしては本末転倒だ」
「……」
「あぁ、その通りだな。そうであったとしても、使われなければ道具としての意義はない。俺たちはそれを自覚し続ける必要がある」
もしも自分たちが『道具だ』という思いを失ってしまったら。その時、きっと自分たちは今の自分たちという『存在』を放棄する。誰かに使われる前に、自分たちで動いてしまうだろう。そしてその時、別に目を付けられている本体で動かなくても良いのだ。
何も本体でしかこの世界に介入できないわけではない。人の姿を取るこの精神体……それの実体化した姿でも、いくらでも介入手段はある。
やってはいけない、出来ることだけれど。
少なくともウイングが何かをやらかさない限り自分には出来ないだろうと思う。今、本体を失ってパイロットは傷ついて、一番ヤキモキしているのは彼だ。だから、それを間近で見ている自分は……そう思って、ふっと顔を上げた。
そんな自分の様子に気付いたのか、ウイングが口を開く。
「もう出番か?」
「……」
頷いて立ち上がり、部屋を出ようと足を進める。
「するのか、自爆」
丁度部屋の出入り口から出ようとしたところで問われ、ヘビーアームズはくるりと振り向いてウイングの方を向き、静かに笑みを浮かべた。
自爆なんて本当はして欲しくない。ウイングのパイロットはそれをやっても生きているが、それが異常なのであって普通は死ぬ。
パイロットには、あまり傷ついて欲しくはない。
けれど、それを彼が求めるのなら、道具である自分は。
「それがトロワの望みなら」
小さく呟いて、とん、と部屋から出た。
色々と難しいなぁ…。
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