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番外編・7


「では……八体という方向で話を進めて良いのですかな?」
「おう。んで、二体で一組ってどうだ?」
「うん、分けるならそのくらいが無難かな」

 食事が終わって、お父様と『世界』と『王』は今後の方針を話し合っていた。
 当事者と言えば当事者…となる私(何せ作られるのは弟妹たちだ)の前でこんな話をして良い物なのだろうかと首を傾げつつ、それでも私は席を外すことなくそこにいた。

 何度も言うが、私はこの話の当事者と言えば当事者なのだ。
 当事者が事を気にするのは当然である。

「となると四組か……一組は接近戦を出来る子たちが欲しいね」
「遠距離をどうにか出来るのも欲しいな。あと司令塔」
「三組は確定ということで?」
「最後の一組は、僕から提案がある」

 と、『王』がわざわざ律儀に手を挙げて発言を求めた。
 それを許可したのは『世界』だった。

「何だよ、言ってみろ」
「僕と君に似た性格の、性質の人形が良いと思うんだ」
「はぁ?俺らに似た?」
「うん」

 コクリと頷く『王』に、ワケが分からないという表情の『世界』。お父様は様子見を決め込んだようで無言だった。

 私は……『王』の気持ちが何となく理解できた。
 今からお父様に作るようにと依頼しているのは、つまりは『世界』をどうにか出来てしまう私の弟妹を作り出す事である。

 恐らく『王』は、弟妹たち八名の良心に近い存在を作りたいのだ。
 その子たちによって『世界』をどうこうするかを、決めて欲しいのだ。
 自分にそっくりな存在を前にして、それを害するかどうかを決めて欲しいのだ。

 似た対象を害するのは中々難しい。感情移入しやすく、してしまったら害を加える手は止まってしまうだろうから。それでも実行できるとしたら、それは相手が間違っているときややむを得ないときである。

 彼は行動を起こすための基準を作ろうとしている。
 そう、私は判断した。
 しかし『世界』は分からないようで、酷く悩んでいる様子。

「…いや、本気で分からねぇんだけど、何でだ?」
「そのくらい自分で考えて。少し考えたら分かるよ、多分」
「少しは考えたっての」
「じゃあ、もっと頑張って」

 どうやら『王』は考えを口にする気はないらしい。それはそうだろうな、と私は納得した。心配なのだと、恥ずかしくて言う事は出来ないだろう。そういうヒトだとは、短い触れ合いの期間の中で把握している。

「えっと…その二人…どうしようか」
「オイ、話変えんな」
「案としては人型と武器、というのがあるが」
「テメェも乗っかってんじゃねぇよ!」

 あからさまに話題を変えようとする『王』と、その意図を性格に汲み取ったお父様にくってかかる『世界』を見て、私はこっそりと笑った。本来ならお父様に文句を言うような相手は即行で叩きのめすが、今回ばかりはそんな気もなかった。凄く自然なやりとりだったから、かもしれない。悪意がなかった、とも言う。

 さぁ、私の弟妹はどんな姿になるのだろう。三人の会話を聞きながらそんなことを考えるのも、結構楽しいと私には思えた。
 私の願いとしては、ちゃんと妹も欲しいのだけれど。
 言えば、聞きとげられるだろうか?

 

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