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履歴書って言うけど、あまり履歴書が必要な場面って無いですよね。
ってなわけでフィーリングの世界に突入です。
15.履歴書
「アレルヤは、どうしてCBに入ったんだ?」
「僕?」
唐突に問われ、アレルヤはほんの少し言葉に詰まった。
どうして……と言われても、何とも言い難い。
「何で、そんなことを訊くの?」
「…気になっただけだ」
「何となくって事?」
それなら、この唐突さにも説明が付くのだろうか。少なくとも、自分には納得が出来たのだけれど。
しかし、動機と。
始まりは、恐らくあの機関だ。あの場所にいた事が、今の自分のあり方の根底に存在する。それから、仲間を殺してでも生き延びてしまった事実と、逃げ続けた数年間と、それと、CBとの出会いと。
CBの事を聞いたときに思ったのは、多分、袋小路に追い詰められたような気分だった。
もう、自分が行くべき場所はここしか残されていないと。
袋小路といえば袋小路であるその一つしかない出口を、それでも、さほど嫌な思いはなく受け入れることが出来たのは、この組織のあり方故だろう。
そんなことを思ったが、よく考えると守秘義務のためにこれらは話すことが出来ない。
少し考えて、ポツリと、アレルヤは返事となる言葉を口にした。
「辿り着いてしまったから、かな」
「辿り着いて?」
「それ以外に、言葉が見つからないんだ」
全てを総括するのならば、この言葉が何よりも相応しいだろう。逃げ続けた結果、たどり着いてしまった場所。
それが、CB。
幸いなことに、居心地はとても良い場所だ。
最低でも、自分にとっては。
「けど、良いように収まったと思うんだ」
「…だが、お前は戦うことが嫌いじゃないのか?」
「嫌いだけれど…」
だけれど、自分は超兵だから。
戦うための存在だから。
「……この身で、平和のために何かが出来るなら、それ程嬉しいことはないから」
「そういう刹那はどうなの?」
「俺か?」
この質問をしたときから、こういう返しは来るだろうと想像していた刹那は、それ程驚きもせずに思考を巡らせた。
まず第一に、自分には少年兵として仕立て上げられた幼少期があった。そこでガンダムに出会い、それこそが全ての始まりだ。
それからCBと出会い、今に至るまで、心の中にあるのはガンダムという存在、CBの理念、それと、自分という存在についてだろうか。
そんな自分にとって、この組織ほど相応しい場所はない。
戦いによって戦いを消すというその理念は、まさに自分たちのためにあつらえたかのようにピッタリと当てはまる。
居心地が良いか悪いかと言われれば、答えは前者だろう。
だが……こうなると。
苦笑を浮かべて、刹那は口を開いた。
「俺も同じだな」
「同じ?」
「あぁ。お前と同じだ、アレルヤ」
全く、同じだ。
「俺も辿り着いただけらしい」
見つけ出したなんて事はない。CBが、自分を見つけたのだ。そして、自分を見つけた彼らは刹那の目の前に一本の道を造り出した。他の道を消してしまいながら、CBにのみ繋がる道を作り上げていったのだ。
その結果が、今だ。
「そっか……じゃあ、僕らは仲間だね」
「前から仲間だろう」
「その仲間じゃなくて、辿り着いたのが同じだから、そういう関係の仲間」
「…同類、と?」
「あぁ、うん、それが近いかもしれないね」
別に構わないでしょう?と問われて、頷く。
問題なんてどこに見つかるわけもなかった。
結構似てるんじゃないだろうか、なんて。
二人ともやっぱり『戦うことしかできない存在』に括られる、だろうし…。