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戦国バサラです。バサラ。



「時に政宗」
 元就が箸と椀を置いて呼びかけた相手を見た。
「そなたがここにいるのは何故ぞ?」
「Ah?家出だよ、家出」
「家出、とな。国政にでも疲れたか」
「あー、違う違う。そーいうのも戦も何も関係ねぇ。俺の都合」
「ほう…」
 理由に全く思い至らなかったのだろう、政宗に言葉を否定された元就は腕を組んで首を傾げた。今、恐らく別の理由でも考えているに違いない。
 元親はそんな彼の様子を見て。
 気付いたときには、手に持っていた箸を握り折っていた。
 それに気付いたらしい元就が静かに指摘する。
「馬鹿鬼、箸が折れておるぞ」
 どこまでも涼やかな言葉に、元親の中のどこかからブチンと何かが盛大に切れる音がした、気がした。それと同時に折れた箸を元就に投げつけていた。最も、直ぐに弾かれてしまったのだが。
「何をするのだ」
「煩ぇ!元はといえばテメェのせいだ!テメェの!」
「何故ぞ。我はこうして普通に食事をしておるだけであろう」
「それが現状の中で一番説明が付かねぇ事なんだよッ!」
 政宗が家出をしたといって元親の所に転がり込んできたことは、良い。最初は奥州と四国の距離を思って驚きこそしたが、直ぐに些細なことと受け入れた。事情も聞いたし、とりあえず頼られたことに対する嬉しさもある。それは自分が兄貴分だとされている由縁かもしれない。
 それは、今日のことだ。正確には今日の午前中。
 そして、元就が来たのも当然、今日。
 まるで謀ったかのような来訪だったのだ。その上、元就は誰の許可も取らずに人の家に上がり込み、挙げ句に何でもないように昼食を食べている。
 これで苛つくなという方が無理だ。
 しかし、政宗はそんなこちらの考えとは別の想いを持っているのか、呆れたような表情を浮かべていた。
「アンタら落ち着けよ」
「我は落ち着いておるぞ。勝手に興奮しておるのはあやつ」
「誰のせいだ誰の!」
「難癖を付けて我に突っかかるのは止めてもらいたいものだな」
「難癖ぇ!?当然の反論だろ!」
「ふむ……それ程までに我に敵対したいのだな?良かろう、今日こそ決着を付けようぞ」
「人の話を聞けぇッ!…けどまァ…決着ってのは良い案だな、毛利」
 ゆら、と立ち上がり、元親は獰猛に笑う。
 対して元就は静かに真っ直ぐ立ち上がり、冷たい笑みを浮かべた。
 一触即発の状況。
「Sit down、元親、元就」
 それを崩したのは未だに座って食事を続けていた政宗だった。
 元就と共に政宗を見ると、彼はそれに顔を上げることもなく食事を続けながら言った。
「食事中だぜ、今。宴でもねーのに騒がしく食べてると怒られるじゃねぇか」
「誰に」
「そりゃ、こじゅ…」
 と、そこで政宗はしまった、というか……どこか苦い顔をした口を閉ざした。政宗が望んで彼をおいてきたことを思いだしたのだろうか。
 彼の様子を見て、元親は頷いた。事情を知らされている身としては、彼の反応は実に理解できる。事情を知らない元就はやや困惑気味の表情だったが、それに助け船を出す気はない。誰のことを言おうとしていたか分かるからこそ考え込んでいるのだとは分かるが。
 が、それも僅かの間ばかりだった。
 直ぐに思い当たったらしい。納得した様子で元就は口を開いた。
「家出の原因はそなたの右目か」
「…まーな」
「おおかた小言が多くてうんざり、たまには離れてのびのびとしたい…というところか」
「いやまぁそうなんだけどな、何でアンタそんなに言い当てられんだ」
「我の頭脳を甘く見る出ない」
 この程度の事、なんと言うことはない。
 そう言って何やら思案顔で腰を下ろす元就に、どこか嫌な予感を覚えながらも元親も座った。それから小さく息。こういう予感は中々に外れてくれないのだ。
「ならば、我の所に来ぬか?」
 結果は案の定。
 あまりに突然の申し出だったからか、政宗は少し呆然としているようだった。元親の場合は事前に何かがあると感づいていたために大した衝撃もない。
 代わりに腕を組んで元就を見た。
「そりゃまた、どうして」
「奥州より近い甲斐の虎の元へと行かなかったのは、近すぎれば直ぐさま居場所を知られると思ったからであろう。交流も多いと聞くしな。だから、少々遠い我が領の元へと参ったのだな」
「いや毛利、ここは俺の縄張り…」
「近々にでも我の物になるのだから変わりはせぬ」
「んなっ…」
「その様なことより政宗、どうだ?かような愚か者の元におっては完全には隠れ得ぬ」
 とんでもない言葉に絶句している間にも、元就による政宗への勧誘は続く。
 それで何よりもマズイのは、政宗がどうしようかと揺れていることだ。
「確かに元親の所なら気付かれるかもしれねぇな…けど元就ン所でも変わらない気がすんだが」
「案ずるな。我が駒どもを犠牲にしてでも隠し通してみせようぞ」
 自信満々の言葉。他の誰かはさておいて、元就が言うと必要以上に大丈夫である気がするのはどうしてだろうか。元就だからか、やっぱり。というか、こんな事で兵を犠牲にしない方が。
 …それはとりあえず置いておくとして。後で追求しようと思うが。
 元親は、スッと目を細めた。
「毛利、テメェ何企んでやがる」
「企むとは人聞きの悪い。我はただ、貴様ごときの元に政宗を置くのが心配であるだけぞ」
「テメェ…どこまでも人を下に見やがって」
「それだけではない」
 まだあるのか。
 何なんだと挑むように視線をやっていると、元就は静かに椀と箸を取った。食事を再開しながら喋るつもりらしい。
「政宗の作る料理を、馬鹿鬼に与えるのは勿体ないと思っただけのこと。至って普通の意見であろう」
「いや、俺は別に誰に食わしても良…」
「ダメだ!」
「ならぬ!」
 大変不本意なことに元就と言葉が被ってしまったが、互いに一瞬程度にらみ合ってから改めて視線をたじろいでいる政宗へと向ける。これも殆ど同じ速度の反応で、政宗は「実はコイツらって仲良いんじゃ」との考えを頭によぎらせたのだが、幸いなことにその考えは外にではでなかった。二人の気迫の押されて言えなかったとも言うが。
 だから何によっても止められることなく二人同時に…とは今回は行かず、先に口を開いたのは元就の方だった。
「良いか政宗、そなたの作る料理は素晴らしく出来の良い代物ぞ。それをこのような馬鹿鬼に与える道理など有るまい」
「ほら見ろ。政宗、こんな心根曲がりまくってるヤツにお前の作るメシを食わせる必要なんてねぇんだ」
「ンな事言われてもな、今俺たちが食ってるのって俺の作ったのなんだけどな」
 コレに関してはどうするんだよと問われ。
 元親とも隣は僅かばかり顔を見合わせ、直ぐに逸らせた。
「……まぁ、此度は許してやっても良い」
「そりゃこっちのセリフだぜ」
「…妥協かい?」
「ま、そんなところだな」
 元親は頷いた。食べかけの物まで取るほどがめつくはないつもりだ。元就だってそう思うに違いなかった。本当は即行で奪いたい気もするのだが。そして恐らく、元就も同じように思っているに違いないのである。
「昼の間は休戦ってな」
「そうなるな。従って、我と馬鹿鬼の戦はこの食事が終わってからぞ」
 こく、と首を縦に振り、元就がいつの間にか空にしていた茶碗を差し出す。
「政宗、次を」
「ん。……あ、悪ィ。元親分のおかわり無くなった」
「は!?…オイ、ちょっと毛利それ寄越せ!」
「断る。我が貴様に譲る物など無い。貴様とて結構な量を食しておるではないか」
「涼しい顔して俺と同じくれぇ食ってるヤツが言える台詞か!?」
「しゃーねーな…ほら、俺のやるから。手つかず」
「却下。お前はもっと食え」
「政宗、かような鬼が餓死して死のうと構わぬのだから遠慮はするな」
「…テメェ」







元就の口調が分からない…。
というか、何か…長い。
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