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アニキごめん。
この話はこの一言で説明できます。
小十郎が来ている。
その言葉に、政宗は次の手を打つことにした。
「元就」
「何ぞ」
「これからお前の所に行っても良いか?」
「構わぬ」
「…行っちまうんだな」
何でもないように頷く元就に、かなり残念そうな表情をしている元親が非常に対照的。けれど、こちらに小十郎が来ているのならば、元就の方に行って逃げてしまわなければならないだろう。捕まったら小言が来る。
確かに悪かったとは思う。思うが、何であんなことでここまで言われなければならないのだろう。そういう納得できない部分があったから小言をしばらく避け、原因を究明するべく時間稼ぎをしようと逃げてきたというのに…いや、本当にそんなことを行う時間さえ許してもらえないのか。ちゃんと国政は数日間分くらいは終わらせてきたのに。しかも何か問題が起こっても対処できるように念入り、だ。
ともかく。
それらの努力を水に流さないためにも、今は捕まるわけにはいかないのである。
「元親、礼は言っておくぜ」
「おう。またいつでも来いよ」
「政宗、行く必要なぞ無い。こやつの元へ行くよりは我の元へと来るが良い」
「…元就テメェ」
「本当のことではないか」
再び険悪な空気を作り出す瀬戸内組に呆れていると、ちょいちょうとつつかれる肩。
何だ?と見れば、つついたのは慶次のサル。
当然、つつかせたのは慶次。
彼はニッと笑って口を開いた。
「なぁ、俺は付いていっても良い?」
「俺は構わねぇけど元就が良いって言うか?」
「んじゃ、ダメって言われてもついていく」
「…訊く意味有ったか?」
「まぁまぁ。そんな細かいことを気にする必要なんて無いだろ」
「細かくねぇよ」
これが細かいなんて有り得ない。とは思うのだが、何だか何を言っても意味を成さないような気がする。ということは言うだけ無駄だったか。
息を吐きながら、ニコニコと笑ったままの風来坊に視線をやった。
「…OK。元就には俺から言う」
「さっすが政宗!話が分かる!」
「分かるってーか…諦めだろーな、コレ」
こういう類の相手には、先に思ったようにだいたい何を言っても無駄なのである。基本的に勢いで押し切られるので。
別に自分も押しが弱いわけではないとは思うのだが、何というか、勢いの向かっていく方向という物が違うのだろう、多分。そうとでも考えないと原因に全く見当がつかないので間違ってはいないと思う。
そんなことを思っている頃には瀬戸内組の争いも終了したようで、元就が何だか妙に清々しい表情でこちらを向いた。足下には倒れ伏した元親。口論がいつの間にか実力の方のケンカになっていたらしい。元就に顔を踏みつけられている元親を、政宗は少しばかり哀れに思った。側頭部ならまだしも顔を真正面から踏みつけられるのは、見ているこちらも何だか痛い。
「そろそろ参るぞ、政宗。ぐずぐずしておるとそなたの右目が来る」
「それもそうだな。んじゃ行くか」
「向こうに行ったら改めて晩飯作ってくれよな」
「考えとく。ってかまだ食い足りねぇのかよ」
「そりゃ。だって政宗の飯って美味しいし」
いくらでも入るんだよ、と笑う慶次には、まぁ…あまり悪い気はしない。料理を作る者には、料理をしっかりと喜んで食べてくれる相手を嫌えない。
ただ、元就はそういう事情もあるわけもなく。
どこか不満そうな顔で慶次を見ていた。
「こやつも連れて行くのか」
「連れてかなくても勝手についてくるって言ってるぜ?」
「うむ…ならば仕方有るまい、ついて参れ、風来坊」
「遠慮無くついて行かせてもらうぜ。…楽しみだな、夢吉」
肩に乗る小猿に喋りかけ、慶次は立ち上がって歩き出していた元就の後を追った。
政宗はしばらく二人を見ていたのだがついていかなければと思い立ち上がり、ちら、と視線をとある方向へ向ける。
…それから直ぐに逸らして、ポツンと一言。
「…お疲れ、元親」
倒れたまま動かない彼にそうとだけ言って残して、政宗は歩き出した。
本当にごめんよアニキ…。
その言葉に、政宗は次の手を打つことにした。
「元就」
「何ぞ」
「これからお前の所に行っても良いか?」
「構わぬ」
「…行っちまうんだな」
何でもないように頷く元就に、かなり残念そうな表情をしている元親が非常に対照的。けれど、こちらに小十郎が来ているのならば、元就の方に行って逃げてしまわなければならないだろう。捕まったら小言が来る。
確かに悪かったとは思う。思うが、何であんなことでここまで言われなければならないのだろう。そういう納得できない部分があったから小言をしばらく避け、原因を究明するべく時間稼ぎをしようと逃げてきたというのに…いや、本当にそんなことを行う時間さえ許してもらえないのか。ちゃんと国政は数日間分くらいは終わらせてきたのに。しかも何か問題が起こっても対処できるように念入り、だ。
ともかく。
それらの努力を水に流さないためにも、今は捕まるわけにはいかないのである。
「元親、礼は言っておくぜ」
「おう。またいつでも来いよ」
「政宗、行く必要なぞ無い。こやつの元へ行くよりは我の元へと来るが良い」
「…元就テメェ」
「本当のことではないか」
再び険悪な空気を作り出す瀬戸内組に呆れていると、ちょいちょうとつつかれる肩。
何だ?と見れば、つついたのは慶次のサル。
当然、つつかせたのは慶次。
彼はニッと笑って口を開いた。
「なぁ、俺は付いていっても良い?」
「俺は構わねぇけど元就が良いって言うか?」
「んじゃ、ダメって言われてもついていく」
「…訊く意味有ったか?」
「まぁまぁ。そんな細かいことを気にする必要なんて無いだろ」
「細かくねぇよ」
これが細かいなんて有り得ない。とは思うのだが、何だか何を言っても意味を成さないような気がする。ということは言うだけ無駄だったか。
息を吐きながら、ニコニコと笑ったままの風来坊に視線をやった。
「…OK。元就には俺から言う」
「さっすが政宗!話が分かる!」
「分かるってーか…諦めだろーな、コレ」
こういう類の相手には、先に思ったようにだいたい何を言っても無駄なのである。基本的に勢いで押し切られるので。
別に自分も押しが弱いわけではないとは思うのだが、何というか、勢いの向かっていく方向という物が違うのだろう、多分。そうとでも考えないと原因に全く見当がつかないので間違ってはいないと思う。
そんなことを思っている頃には瀬戸内組の争いも終了したようで、元就が何だか妙に清々しい表情でこちらを向いた。足下には倒れ伏した元親。口論がいつの間にか実力の方のケンカになっていたらしい。元就に顔を踏みつけられている元親を、政宗は少しばかり哀れに思った。側頭部ならまだしも顔を真正面から踏みつけられるのは、見ているこちらも何だか痛い。
「そろそろ参るぞ、政宗。ぐずぐずしておるとそなたの右目が来る」
「それもそうだな。んじゃ行くか」
「向こうに行ったら改めて晩飯作ってくれよな」
「考えとく。ってかまだ食い足りねぇのかよ」
「そりゃ。だって政宗の飯って美味しいし」
いくらでも入るんだよ、と笑う慶次には、まぁ…あまり悪い気はしない。料理を作る者には、料理をしっかりと喜んで食べてくれる相手を嫌えない。
ただ、元就はそういう事情もあるわけもなく。
どこか不満そうな顔で慶次を見ていた。
「こやつも連れて行くのか」
「連れてかなくても勝手についてくるって言ってるぜ?」
「うむ…ならば仕方有るまい、ついて参れ、風来坊」
「遠慮無くついて行かせてもらうぜ。…楽しみだな、夢吉」
肩に乗る小猿に喋りかけ、慶次は立ち上がって歩き出していた元就の後を追った。
政宗はしばらく二人を見ていたのだがついていかなければと思い立ち上がり、ちら、と視線をとある方向へ向ける。
…それから直ぐに逸らして、ポツンと一言。
「…お疲れ、元親」
倒れたまま動かない彼にそうとだけ言って残して、政宗は歩き出した。
本当にごめんよアニキ…。
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