[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
どうしようカテゴリーと思って、とりあえずボンゴレ。
違う気がするけど!違う気がするけれどその他も何か違う気がするから…。
044:友人
今まで『凪』には友人と呼べる相手はいなかった。
正確には、繋がり、というものが無かった。
両親は多分、自分の事なんてどうとも思っていなかっただろうし、クラスメイトのみんなも、自分がいなくなったところで何も感じなかっただろう。付き合いが全くなかったわけではないが、全て上辺だけの薄い物だったと思う。
けれど、今ではどうだろう。友人、と呼べるほど生やさしい関係ではなくても、そこには確かな繋がりがある。
それが嬉しくて、けれど、そんな相手に家事を手伝わせている現状を思い出して、クロームは隣で一緒に皿を洗っている『仲間』をチラリと伺い見た。
「千種……ごめんね、手伝ってもらって」
「……別に」
一度短く返して、ため息を挟んで千種は再び口を開いた。
「最近クロームに家事は頼りっぱなしだから……骸様にもたまには手伝えって言われたし。……本当は犬も連れてきたかったけど」
「…けど?」
「逃げられた……追いかけるのがめんどい」
「……そっか」
その時の様子がありありと浮かんでくるようで、クロームは少し笑った。
クロームが皿を洗っている間に、ふっと千種が手伝おうとでも言い出すのだ。それを犬は嫌そうな顔をして、千種はそんな犬に骸様が言っていたと言おうとして、嫌だと思ったから走ってどこかに行ってしまう犬に、言えずに終わってしまう。千種はその背を見送ってしばらくして、眼鏡を押し上げてからこちらにやって来る。
多分、そんな感じ。実際に「骸様に言われた」と言ったら、彼だって渋々だろうとこちらに来ると、思うし。
けど、別にそれは良いのだ。
ただこうやって、他人と一緒に繋がりを持って一緒に入れることが、嬉しい。
「……あ、千種」
「…何」
「洗剤はそっちじゃなくて、こっちだよ…?」
「………めんどい」
黒曜組もやっぱり好きですよ?