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何というか、00の中だったらアレルヤとハレルヤのためにあるようなお題ですよね。
ソーマリーは上書きとかだからちょっと違うし。
17.精神分裂症/統合失調症
ねぇ、二人一緒って狭くない?
そう尋ねると、彼は困ったように笑った。
ネーナはその笑みに背中を押されたような気がして、思わず、続きの言葉を口にした。
「だって、二人も一つの入れ物に入ってるの。狭いんじゃないかと私は思うんだけど、実際ってどう?」
「どう、と言われてもね…」
アレルヤは、やはり困ったような調子で答えた。
「僕らはこの状況に慣れすぎてしまったから、別に何とも思わないというのが実情かな」
「ふぅん…じゃあ、一人だけだったときと今、どっちが良い?」
「というと?」
「んーっと…どっちが、広い?」
「そうだねぇ……」
何やら思い出すような様子で、アレルヤが考え込み、そして。
「変わらない…かも」
「変わらないの?本当に?」
「嘘を言って意味はないでしょう?」
「それはそうだけど……」
「だから、これは本心だよ」
「納得できないの」
「…じゃあ、こう考えると良い」
手元にあったクッキーの、一枚を手にとってアレルヤは。
それを、折った。
「つまり、今の僕はこういう事なんだ」
「…えっと」
「元は一つだったのが、二つに分かれたって言うだけのことなんだよ」
「…だから?」
「だから、一つの容器に二つなんだけど、その二つは二つで一つだから問題ないって事。狭くなんてないんだよ、実際に」
「そうなんだ…」
「何ならハレルヤにも訊いてみる?」
「え…あ、いや、良い」
ハレルヤは、ちょっと苦手だ。次兄のミハエルと通じるところがある気はするのだけれど、何となく苦手。あの、敵を鋭く貫きそうな視線が嫌なのだろうか。それとも、何も見ていないようで全てを見透かしているような、あの性格が気に入らないのだろうか。
とにかく。
ネーナは、ハレルヤと合うのだけはごめんだった。
「いいよ。会いたくないから」
「そう?なら良いんだけど…丁度ハレルヤも寝てるところだし」
起こせないから、本当は。
そう言って嗤ったアレルヤは、折ったクッキーを口に入れた。
「でも、やっぱり僕らみたいなのの事を知りたいなら、ハレルヤにも訊くべきだけれど」
「別にそこまで知りたいワケじゃないから良いの」
「そっか」
「うん。それよりも、」
「何?」
「一人の昔と二人の今、どっちがどう違うの?」
「難しい質問、だね」
「そう?思い出せばあっという間よ?」
「それがね、ハレルヤと一緒にいる時間が長かったせいで、一人だけだった時間が思い出せないんだ。困ったことなんだろうね、これは」
「……そんなにずっといるの?」
「うん。だからハレルヤは僕の掛け替えのない片割れ」
「大好きなのね」
「それを断言することは難しいけれど…そうだね、それが近いかもしれない」
「じゃあ、これからもずっと一緒にいるのね」
「多分。全てが僕らがそうある事を許してくれたら」
「私は許すわ」
だって、ずっと一緒にいるというのだから。
ネーナにとっての、兄たちと似たような感じなのだろう。
失いたくない存在。
「私は許すから、アレルヤはずっとハレルヤと一緒にいれば良いんじゃない?」
「…そう、かな」
「そうよ。私の許可だけじゃ不服?」
「…うぅん。分かった。ありがとう、ネーナ」
会話が殆ど。
そういえば、何気にネーナの出番がサイトでは多い気がします。