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この話はどこまで続くかが全く見当付かない、というのがあれですね。このシリーズの中の、他の話も上げたいのに。何か悔しいぞ。
「元就ー、かなり警戒されてるぜー」
「ふん…かようなことなど予測済みぞ。そもそも元凶はそなたであろうが」
「親切って言え。後で知るよりマシだろ」
「知ることなどあるわけが無いがな」
結局。
あの後、いつきと慶次は政宗と元就も一緒になって街の中を歩くことになった。竜という珍しく、自分の種族にとって大切な存在であることを差し引いても、政宗のことが結構気に入った自分としては、それは嬉しい事態だった……半分は。
残り半分は、正直怖いからどうにかして欲しいという感じだ。
何せ、今、この場には元就がいるのである。
妖を祓うことを生業としているらしい彼だから、たとえ人間だろうと……いや、人間だからこそ警戒しなければならないと感じていた。
しかし、彼はそんな自分の反応を一笑に付した。
「何を怯えておる。我がこのような小物を相手にすると思うたか」
「な…何言うべか!失礼だべ!」
「事実を述べたまでの事」
「ちょ…お前ら止めろって!」
「放すだ慶次!おらぁ、アイツを殴らないと気が済まないだ!」
後ろから羽交い締めにされ、その拘束からいつきが逃れようとしている間も、元就は冷たい視線をこちらに送るだけだった。何をするでもなく、見ているだけ。それが何とも余裕を示している行動に見えて、一気に悔しさに顔が染まる。
もう、警戒心などどこかに行っていた。
それよりも……この相手を叩きのめしたいと、本気で思った。
気持ちに呼応するかのように、いつきの中に存在していた力が静かに脈動を始める。その気配を感じたのか元就が微かに眉を上げたが、そんなことは既にどうでも良い。今はただ、この相手を完全に倒してやりたいと思うだけ。
けれど。
「いつき、止めな」
政宗のその言葉に、一気に力がそげていくのを感じた。
否……削げていくのではなく、外に向かっていた力が静かに内側へと戻っていく、のだ。
一瞬どういう事か分からなかったが、直ぐに見当付く。竜と、雪女。雪女は竜に絶対服従なのだ。したがって、竜の言葉は、絶対。
そう分かった瞬間、思わず政宗に咎めるような視線を送る。
「何で止めるだ?絶対にあの性悪が悪いべ!」
「性悪…」
「性悪ねぇ」
いつきの言葉に顔を引きつらせる慶次とは対照的に、政宗は面白そうに笑っていた。まるで珍しい物を見つけた、というような表情だ。
何か妙なことでも言ったのかと不安になったがそうではないらしい。政宗は面白そうに笑っているまま、元就の方に視線を向けた。
「性悪だとよ、元就」
「別に善人であるつもりはない」
「少しくらい堪えてみろよ」
「断る。我がその様なことを行う道理が見つからぬ」
「言うと思ったぜ…ん?」
肩をすくめ、それから何かに気がついたかのように政宗が視線を巡らせた。
気付いた物の正体を探るように目を細め、数秒後、分かったらしく納得の表情を浮かべた。逆に、こちらも気付いていたらしい元就は渋い顔だったが。
何なのだろうと首を傾げている間に、政宗は一人どこかへと歩き出した。目的があるような歩みに、ついつい、いつきも後を追った。多分、気付いた何かの所に行くのだろう。彼が何に気付いてそちらに向かったのかが気になったのだ。
慶次も同様だったらしく一緒に付いてきて、元就だけが渋い表情のままにそこに立ち止まっていた。彼は、気付いた何かに会いたくないのかもしれない。
ともかく。
路地に入る角を曲がったところで、いつきは政宗ともう一人がいるのを目にした。
その人も政宗と同じように眼帯を付けていた。最も、付けているのは左右対称だったし、それ以外は全然全く似た様子も無かったのだけれど。
けども、それよりも問題なことがあった。
あと五歩くらい進めば政宗の背中にたどり着ける……が、どうしても足が進まないのだ。
そちらに行くことを、恐れているかのように。
慶次は何ともない様子で不思議そうにしているのに…変な、話。
「オイ」
いつきの状態に気付いたのか、政宗が対峙していた相手に腕を組んだまま言った。
「もう少しくらい気配消せ。いつきが辛そうじゃねぇか」
「無駄に偉そうだなお前…ってか、これで辛いってどんだけ敏感だ?あの嬢ちゃん」
「知るか。頭領の親族とかそういうオチだろ」
「…しゃーねぇな」
その言葉と共に、足が自然に動くようになったのを確認して…困惑する。困惑するしかなかった。
この相手は、一体。
いつきは、色んな事に敏感な子って言う設定です。
「ふん…かようなことなど予測済みぞ。そもそも元凶はそなたであろうが」
「親切って言え。後で知るよりマシだろ」
「知ることなどあるわけが無いがな」
結局。
あの後、いつきと慶次は政宗と元就も一緒になって街の中を歩くことになった。竜という珍しく、自分の種族にとって大切な存在であることを差し引いても、政宗のことが結構気に入った自分としては、それは嬉しい事態だった……半分は。
残り半分は、正直怖いからどうにかして欲しいという感じだ。
何せ、今、この場には元就がいるのである。
妖を祓うことを生業としているらしい彼だから、たとえ人間だろうと……いや、人間だからこそ警戒しなければならないと感じていた。
しかし、彼はそんな自分の反応を一笑に付した。
「何を怯えておる。我がこのような小物を相手にすると思うたか」
「な…何言うべか!失礼だべ!」
「事実を述べたまでの事」
「ちょ…お前ら止めろって!」
「放すだ慶次!おらぁ、アイツを殴らないと気が済まないだ!」
後ろから羽交い締めにされ、その拘束からいつきが逃れようとしている間も、元就は冷たい視線をこちらに送るだけだった。何をするでもなく、見ているだけ。それが何とも余裕を示している行動に見えて、一気に悔しさに顔が染まる。
もう、警戒心などどこかに行っていた。
それよりも……この相手を叩きのめしたいと、本気で思った。
気持ちに呼応するかのように、いつきの中に存在していた力が静かに脈動を始める。その気配を感じたのか元就が微かに眉を上げたが、そんなことは既にどうでも良い。今はただ、この相手を完全に倒してやりたいと思うだけ。
けれど。
「いつき、止めな」
政宗のその言葉に、一気に力がそげていくのを感じた。
否……削げていくのではなく、外に向かっていた力が静かに内側へと戻っていく、のだ。
一瞬どういう事か分からなかったが、直ぐに見当付く。竜と、雪女。雪女は竜に絶対服従なのだ。したがって、竜の言葉は、絶対。
そう分かった瞬間、思わず政宗に咎めるような視線を送る。
「何で止めるだ?絶対にあの性悪が悪いべ!」
「性悪…」
「性悪ねぇ」
いつきの言葉に顔を引きつらせる慶次とは対照的に、政宗は面白そうに笑っていた。まるで珍しい物を見つけた、というような表情だ。
何か妙なことでも言ったのかと不安になったがそうではないらしい。政宗は面白そうに笑っているまま、元就の方に視線を向けた。
「性悪だとよ、元就」
「別に善人であるつもりはない」
「少しくらい堪えてみろよ」
「断る。我がその様なことを行う道理が見つからぬ」
「言うと思ったぜ…ん?」
肩をすくめ、それから何かに気がついたかのように政宗が視線を巡らせた。
気付いた物の正体を探るように目を細め、数秒後、分かったらしく納得の表情を浮かべた。逆に、こちらも気付いていたらしい元就は渋い顔だったが。
何なのだろうと首を傾げている間に、政宗は一人どこかへと歩き出した。目的があるような歩みに、ついつい、いつきも後を追った。多分、気付いた何かの所に行くのだろう。彼が何に気付いてそちらに向かったのかが気になったのだ。
慶次も同様だったらしく一緒に付いてきて、元就だけが渋い表情のままにそこに立ち止まっていた。彼は、気付いた何かに会いたくないのかもしれない。
ともかく。
路地に入る角を曲がったところで、いつきは政宗ともう一人がいるのを目にした。
その人も政宗と同じように眼帯を付けていた。最も、付けているのは左右対称だったし、それ以外は全然全く似た様子も無かったのだけれど。
けども、それよりも問題なことがあった。
あと五歩くらい進めば政宗の背中にたどり着ける……が、どうしても足が進まないのだ。
そちらに行くことを、恐れているかのように。
慶次は何ともない様子で不思議そうにしているのに…変な、話。
「オイ」
いつきの状態に気付いたのか、政宗が対峙していた相手に腕を組んだまま言った。
「もう少しくらい気配消せ。いつきが辛そうじゃねぇか」
「無駄に偉そうだなお前…ってか、これで辛いってどんだけ敏感だ?あの嬢ちゃん」
「知るか。頭領の親族とかそういうオチだろ」
「…しゃーねぇな」
その言葉と共に、足が自然に動くようになったのを確認して…困惑する。困惑するしかなかった。
この相手は、一体。
いつきは、色んな事に敏感な子って言う設定です。
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