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お兄さんの喋り方がハッキリと分からないという悲劇…。
もっと精進しなければ。
048:言葉よりも何よりも
「お兄ちゃん、今日は良いことでもあった?」
「うむ?」
「何か、そんな顔してるもの」
夕食の席でそんなことを言い出した京子に、そうだな……と、焼き魚を頭から丸かじりしながら考える。あれは確かに良いことだった。
だが、それを顔を見ただけで分かられてしまう物だろうか。
首を傾げ、了平は京子に問いかけた。
「そういう事は、顔を見るだけで分かる物か?」
「分かるよ。だってお兄ちゃんって分かりやすいし」
「そんなにか?」
「そんなに、だよ。それにね?」
クスクスと笑いながら、京子は続ける。
「私はお兄ちゃんの妹だもの。言葉にされなくたって、顔を見ればどんなに小さな事でも、そのくらいは分かるよ」
「そういえば俺もそのような事はあるぞ」
「ほら、ね?そういうものなんだよ、きっと」
「そうなのか…」
「そうなの。で、お兄ちゃん」
いつのまにやら微笑みを苦笑に変えていた京子は、ちょっと遅かったけれど一応ね……と前置きをしてから言った。
「魚の骨はちゃんと取った方が良いよ?」
「そのような面倒なことはしてられんのだ」
「でも、喉に引っかかったりしたら大変…」
「大丈夫だ!俺は決してそのようなヘマはせん!」
「ダメだってば。お兄ちゃんでもちゃんと骨は取らないとダメだよ」
「……む」
「これからはちゃんと取ってね?」
「……仕方あるまい」
この兄弟は本当に仲良しで良いですよね。
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