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拍手再録です。
12.ジャングルジム
「そういや、フェルトってこう言うところは初めてか?」
「……うん」
頷いて、フェルトは辺りをぐるりと見渡した。
そこは公園と呼ばれる場所だった。地上の、子供たちが遊ぶために集まってくる場所。今は日も暮れて時間も遅いからか、子供の姿は一つも見えなかったが。
それでも何となく、ここで子供達が遊んでいたのだろうという事は分かる。例えばベンチの上に忘れられたらしい縄跳びだとか、砂場に刺さったままのスコップだとか、その砂場に出来上がっている砂山だとか。
どれも、子供達がいたという証拠だ。
「記念だし、フェルトも何か遊具で遊んでみるか?」
「え…?」
「誰もいないし大丈夫だろ」
どうする?とロックオンに問いかけられ、フェルトは少しだけ迷った。公園の遊具というのは、基本的に小さな子供が遊ぶための物、だったハズだ。それを、そこそこの年齢に至っている自分が使って遊ぶのはどうだろうと思ったのだ。
けれど、今回を外したら次はいつ来ることが出来るだろうかと、そういう気持ちもあった。それならやはり、遊んでみた方が良いのではないだろうか、と。
考えた末、フェルトはこくりと頷いた。
「よし…なら、ジャングルジムにでも上ってみるか?」
「ジャングルジムって……あれ?」
「そうだ。良く知ってるな、フェルト」
「……情報で、だけれど」
宇宙育ちの自分は、こんな場所に来たことはないから。
「でも……思っていたより大きい」
「そりゃま、実物を見ればそういうもんだと思うぜ?」
「あれに上るの?」
「あぁ。いけるか?」
「大丈夫」
頷いて、フェルトはジャングルジムに手を伸ばした。
(2009/07/10)