[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
拍手再録です。
06.男泣き
「前々から思ってたんだけどよ、男泣きってどんなんだ?」
「……えっと、アレルヤさん?」
突然の『アレルヤ』の言葉に、ライルは若干でなく戸惑った。
そんな自分を気にすることなく、彼は金銀の瞳でコーヒーの入ったカップにミルクを入れつつスプーンでかき混ぜていた。その様は、気にしないというかむしろ……存在自体認められていないような気が。
一体、とワケが分からない状況の自分を、これまた無視する様子でティエリアが顔を上げた。読書をしていた彼なのだが、こちらの方が気になったらしい。
セラヴィーのマイスターは、メガネをくいと押し上げて『アレルヤ』を見据えた。
「…どうして君が出ている?」
「チビガキが今、ダブルオーライザーの調整やってんだろ?」
「そういうことか」
「どういうこと?」
「しかし…トランザムをするような必要があるのか?」
「ボタンの押し間違えだろ、どうせ。動機としてはあと……単に、出来るようになったからやりたかった、くれぇのもんじゃねぇの?」
「…」
会話の中でも完全に無視されていた。
まぁ良いけれどと、良くないと思いながら口の中で呟き、二人の話に無理に立ち入るまいと我関せずの態度を取ろうとした、のだが。
ぐりんと『アレルヤ』がこちらを向いた。
「というわけで、だ」
「…?」
「テメェ、男泣きやってみろ」
「……え?」
「あぁ、それは面白そうだな。是非ともやってみてもらいたい」
「ちょ…ティエリアさん?」
何でどうしてそんな方向に話が、というか、そんな話をしていただろうかこの二人は。
釈然としない感覚を抱きつつ、しかし逃げ場のないライルはどうしたら良いんだと頭を抱えた。
(2009/07/10)