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ようやく幼稚園の話が挙げられました…長かったような気がするのは何故。
幼稚園、というか有る意味実質では保育園であるそこに足を踏み入れると、自分の姿をめざとく見つけた園の先生が、ちょっと来いと手招きをしてきた。
一瞬、躊躇する。この幼稚園に通っている、付け加えて自分の弟が在籍している組の他の園児は、何かよく分からないくらいに元気が良いのが多い。このままついていけば、送り迎えに来たはずの自分が間違いなく世話の手伝いをすることになる。
別に…避ける必要もないのだが。
もう日常になっているソレに息を吐いて従うことにして、GP-02はそのままキュベレイの後を付いていくように歩を進めた。
「今日は何だ」
「大したことではないんだが……ケンカが起こってな。二組」
「……片方をどうにかしろ、と?」
「まぁ、ハッキリ言うとそういうことか」
「ちなみに、二組というのは」
「片方はいつもの通りのブルデュエルとヴェルデバスターのモノだ」
「もう片方は?」
「…それは」
そこで言いにくそうに言葉を切る、キュベレイの様子に嫌な予感を覚える。
とりあえずステイメンが関わっていることはない、と思う。そうだったら最初にそれは告げられるだろう。そもそもあの人間が長男以上に出来ている末弟がケンカ騒動を起こすとも考えにくい。
では、それ以外でどうしてここまで言いにくそうなのか。
決まっている。
手に負えない組み合わせだからだ。
「誰と、誰だ?」
「……たんくと、みねば様だ…」
「…あぁ」
それは確かにキュベレイではどうしようもない。
彼女が止めに行くと、必ずみねば側に付いてしまうだろう。それは公平ではないし、そのせいで後に禍根でも残ったらとてつもない問題になる。何せ、みねばのケンカ相手はたんくなのだから。
果たして止めれるのだろうかと、GP-02は昔の例を頭の中で浮かべながら思い、息を吐いた。五分五分、と言うことが出来たら良い方だ。
そうしてまぁ、結果としては。
組の室内に入ったところで、あぁダメだと判明したワケなのだが。
「……」
「……」
室内の様子を見て、二人して、絶句。
そこには、とんでもない光景が広がっていた。
何がどうなったのかは知らないが。
自分たちから見て部屋の左側の壁にはヴェルデとたんく。
反対側には、ブルデュエルとみねば。
何故だろうか。男子と女子とで連合軍が出来上がっていた。
「あ!02にーちゃん!」
「キュベ先生!この四人どーにかして止めてくれよ!」
そしてその連合軍に参加していないステイメンとブイが自分たちを見つけ、急ぎ走り寄ってきた。その表情からは『早くどうにかしてくれ』という心情が見え隠れしている。
まぁ、それもやむなしだろう。
部屋の中は、それはもうとんでもないことになっていた。両陣営が室内の色々な道具を持てるだけかき集めて、部屋の両端から投げ合っているのだ。壁の所々はへこんで、床には傷が付いて、玩具のいくつかは使い物にもならなくなっているのだ。
「…一つ訊かせろ」
「……何だ?」
「何がどうなってこうなった」
「原因のことか?」
「あ、02にーちゃん、あのね、おもちゃの取りあいがはじまりだよ」
「ジャンケンして順番きめろって言ったのに、アイツらぜんぜん聞かないんだ」
幼児二人が簡単に原因の説明をして、それから再び室内に視線が戻る。
GP-02も同様にして、再び、息。
これをどうやって止めろと言うのか。
それは流石にキュベレイも思ったのか、青い顔をして室内を見ている。飛び交う玩具の一つでもみねばに当たったら、などと思っているに違いない。ハサミが飛んでいないことは救いだろうか。ちら、と道具箱の中にあるハサミを見ながら思う。
というか、これはもう放っておけばいいのではないのか。投げ合ってはいるが、何となくわざと当てまいとしているようにも思えるし、ハサミやカッターといった危険物には手を付けていないし。要は、苛立ちを物を投げ合って解消しているだけなのだろう。
だが、キュベレイはそうも言っていられないかもしれない。放っておけば収まるだろうが、収まるまでに室内が大変なことになっては先生としては困るのだろうし。
ただ、それでも止める方法はないわけであって。
しばらく、この嵐は止まないのだろう。
キュベレイ頑張って、本気頑張って。
そしてサイサ…げふん、GP-02は傍観中。だって傍観するしかないだろこれ。