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やっぱり弟妹同盟のカテゴリは作るべきでしょうか。
何か増えてるから…ていうか、増やしてるから、ね。



「今、お前何てった」
「え?だから、クロームってこいう場でもあまり酒とか持たないんだなって」
「その後」
「後?…あぁ、とりあえずワイン持たせたことか?」
「その後、それはどうなったんだぁ…?」
「えっと…確か飲んでたような」
 果たして、それに一体どういう意味があるのだろう。別にこのようなパーティが行われている場ならば、それほど問題にはならない行動であるように思えるのだが。むしろ自然であるように見受けられる。
 だから。
 山本には、スクアーロが真っ青になっている理由が全くと言っていいほど分からなかった。いくら考えても理由らしい理由が出てこないのである。
 未成年とかそういう事を心配しているのではないだろう。リング争奪戦から十年ほど経った今、自分たちはとっくに成人を越しているのだから。そもそも、彼がそんなことを気にするとも思えない。
 となれば、考えられるのは一つ。
「もしかして……酒とか渡しちゃまずかった?」
「まずいどころじゃねぇぜぇ…」
「…そんなに?ヴァリアー次席が言うくらい?」
「見てりゃわかる」
 全く、これが身内だけの会で良かったと。
 心の底からスクアーロがそう続ける頃には、山本はそろそろ本格的に自分の行ってしまった行動の浅はかさを悟っていた。付け加えて、この場にハルや京子がいなくて良かった、とも。彼女らも参加予定ではあったが、少し時間が合わなかったのだ。
 そう思わせるような状況になっていた。
 命に別状など無い。当然のように害といった害も無いのだが、室内だったはずの場所が一瞬にして屋外になってしまっては流石に驚くしかない。しかも夜であったのに昼間になっているし。テーブルはそのままで、空間だけを取り替えたような感じなのだけれど。
 もちろんこれは幻術だ。そのくらい分かる。けれども、有る程度の幻術には対応できるはずの自分たちでさえ見事に掛かってしまっているこれ。
 霧の守護者だけあって、彼女の幻術のレベルは高いのだと今更ながらに知る。
「おー、今回はまだまともじゃねぇか」
「…まとも?これで?」
「この前は灼熱地獄だったぜぇ。その前は寒冷地獄」
「へぇ…って、あれ!?ちょっとスクアーロ何で二回も幻術くらってんだ!?」
「……まぁ、色々となぁ」
「色々、って?」
「色々は色々…っていうかな、武、お前そろそろ逃げた方が良い」
「は?」
「来る」
 そう言ってスクアーロが指さした先の、光景を目にして山本は顔を引きつらせた。
 緑のツタが、一斉にこちら目がけて迫ってきていたのである。
 …前言撤回だ。十分に害がある。
 慌てながらも、山本は頭を抱えているスクアーロの方を見た。あれはこちらに向かっている。他にも遊びに来ていたディーノとかにも迫っているけれど、本体っぽい固まりはこちらに来ているのである。ということは、彼も危ない。
 だが、スクアーロは心配ない、あるいはお前だけ頑張れ、とばかりに手を振った。
「あれ、絶対にお前だけを狙ってるから問題ねぇ」
「…本気で?」
「あぁ、本気だろ。今までの事象で確認ずみだぜぇ」
 何を確認したのだろうか。というか、その言葉で先ほどの『色々』の事がとても気になるようになってきたのだが果たして。
 とりあえずこの場はスクアーロの言うことを信じるほかに道はない。というか、彼の話が嘘でも本当でも、彼のことは放っておいても良いだろう。彼なら問題ない。
 くる、とツタが来る方に背を向けて、山本はそのまま走り出した。もちろんツタの来ない方へ。今は広い場所であるように見せられているとはいえ、一応室内であるこの場だったからいつか壁にぶつかりそうで不安はあったが。
 そうして走り回っている間に、スクアーロの傍に近づく影。
「やぁ、スクアーロ」
 雲の守護者こと、雲雀恭弥だった。
 それに軽く応じて、高みの見物を決め込んだらしいスクアーロはクロームに目をやった。
「相変わらずクロームの暴走はド派手だなぁ」
「確かにね。今回はどうやらいつもと違う、あまり関係ないメンバーも射程に入れたらしいよ。見て、君の所の雷がツタに捕まってる」
「そいつはそういうポジだから気にすんな。にしても、ボスさんとベルを置いてきて正解だったなぁ…アイツらいたら部屋が半壊するぜ」
「あぁ、そうだねそういえば。この前けしかけたときも部屋が壊れてたものね」
 二人の会話を聞きながら思う。
 …成る程、スクアーロの言う『色々』とはすなわち、雲雀の策略の『色々』か。
 走りながらも周りの音を拾えるようになったこの身を果たしてどう取るべきだろうと思いながら、山本は、それでも走り続けた。止まったら捕まる。
 止まることが出来たのは…一時間くらい後だった。









クロームがお酒に弱かったら可愛いと思ったんです。
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