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日輪学院においての、半兵衛について、ようやくかけました…
竹中半兵衛は生徒会書記だ。
つまりは生徒会の一員であり、生徒会として日々様々な活動をしたり、生徒会長と副会長の言い合いを傍観したり、庶務と一緒に静観したりしている。
だがしかし、半兵衛には別の顔も、ある。
それは。
「秀吉、すまない。まだ決定打は見つからないよ」
「気に病むことはない。相手はあの毛利元就だ。長期戦になることなど予想済みよ」
「そうか…そう言ってくれると嬉しい」
言って、半兵衛は微笑んだ。
……生徒会へ送り込まれた偵察者。
それが、半兵衛の別の顔だった。
初めから、なのだ。初めから生徒会にはそれが目的で潜り込んでいる。ただし怪しい行動を見せた覚えはないし、今のところ怪しまれてもいない様子だから、しばらくはまだスパイをやっていくことは出来るだろう。
もっとも、分かっていて野放しにしている可能性も、あるのだが。
何せ相手は毛利元就だ。
だからこそ、早急に彼の弱点を見つける必要がある。いつまでも均衡が保たれるとは限らないのだから、それもまた当然の行動だろう。
今度こそと心に決めて、半兵衛はゆっくりと立ち上がった。
「じゃあ、僕は生徒会に行くから」
「くれぐれも正体は気付かれぬようにな」
「分かってるよ。安心して」
「期待しているぞ、半兵衛」
「…嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
ふ、と笑って屋上のドアを閉め、向かうのは言葉の通り生徒会室。
毎日毎日集まって仕事をしている……と言えば聞こえが良いのだろうが、残念ながらあれはそんなものではない。集まってギャーギャーと言っているだけの無駄な時間だ。それでもある程度の成果を出している点は、さすがという他ないのだろうが。
生徒会は、秀吉の……自分たちの目的である学院の全勢力を支配下に置くためには避けて通れない相手だが、その時はとても手強い敵になりそうだ。
今からでも内部分裂をさせることは出来ないだろうか…と思って、止めた。
何かもう既に内部分裂は怒っているような気がしたのである。
そもそも、あの集団に協調という物はない。生徒会長からして生徒を『駒』などと言っているのだ、それもまた当然のことだろう。副会長はそのせいで生徒会長といがみ合い、庶務は我関せずを突っ切っているし。その他諸々の生徒会以外のメンバーだって、あの場所をたむろするための場所に設定しているだけに見えるし。特に、その中でも元親は元就としばしば衝突している。
こうしてみると完全に、バラバラの集団だ。
内部分裂が無理、というか既になっているとなると……出来ることと言えばやはり、弱点を探り、真正面から衝突するときに有利に運べるようにすることくらいだろう。
「それが難しいんだけれどね」
はぁ、と息を吐いて廊下を歩く。
秀吉には大丈夫だと言ってしまったけれど、正直あまり自信はないのだ。素直にそう思えるくらいに元就は手強い。
こうなったら周りから崩していこうか。けれど、元から内部分裂している集団で、それがどれ程の意味があるだろう。こちらに引き込むことが出来なければ、崩していっても直ぐに元の場所に戻られかねない。何だかんだで生徒会は居心地が良いらしいし。
しばらくはこのままか、と口惜しく思いながらも半兵衛は生徒会のドアを開けた。
「遅くなって済まない」
「珍しいじゃねぇか。何かあったのか?」
「何もないよ。ちょっとした野暮用さ」
「ふん、野暮用すらとっとと済ますことが出来ぬのか、竹中半兵衛書記」
「そうだよ、毛利元就生徒会長。野暮用もしっかり対応してこそだと思うんだけれど?」
「下らぬ」
言い切って、元就はそのまま自分の書類に意識を戻してしまった。
やれやれと肩を竦め、半兵衛は定位置に座る。
「そういえば浅井君がいないけれど」
「浅井は本当に用事があるんだとよ」
「へぇ…珍しい」
「ま、そういうこともあるって事だろ…あ、元就その書類」
「うむ」
政宗の言葉に、元就は頷いて一枚の紙切れを紙の山の真ん中から抜き取って渡した。
……そう、これだ。半兵衛は心の中で零す。
バラバラな集団かと思えばとても息のあった行動をする、ワケの分からない集団。今だって、政宗はどの書類かとハッキリ言わなかったにもかかわらず、元就は彼が求めた書類を何でもないように差し出したのだ。
だからこそ、敵として相応しい。
「その時が、楽しみだね」
小声で呟き、半兵衛は薄く笑った。
認めてるからこそ手強いと考えてる感じです。
そして秀吉初書き。初書きがこんなちょい出でごめんなさい…。