式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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カトルの話なのにサンドロックが出せなくてごめんなさい。
デモの集団の行進。
その光景を建物の屋上から立って眺めつつ、ウイングは傍でフェンスにもたれかかって座っている仲間に視線を向けた。
「トラウマにでもなったか?」
「…分かんないけど」
とりあえず嫌だ。
小さくそう呟くデスサイズの頭にポンと手を乗せて、ウイングは改めて下の風景を見る。
あれは、ウィナー家の人間に対するデモらしい。そして、そのウィナー家と言えば確か……サンドロックのパイロットの実家だったか。資源衛生を多く所有している、発言力もあるらしい家だからOZのターゲットにされてしまったのか。不幸なことだ。
ともかく、ここにサンドロックがいなくて良かったと思うと同時に、この場所に来てしまったことに対する悔いを覚えた。こういう光景こそ、今のデスサイズに見せてはならない光景であろうに。いくら予想できない事態だったとはいえ、その点は本当に後悔するしかない。
今度から、ちゃんと問題が起こる前兆があるかどうかは調べる必要があるだろうか。少なくとも、これからしばらくは。
ではそうしようかと決めて、ウイングはデスサイズの腕を取った。
「…ウイング?」
「いつまでもここにいても何も変わらないだろう。別のコロニーに行くか?」
「…いや、何か起こりそうだから、しばらくここにいる」
「……良いのか?」
これから起こることは、恐らく自分たちから見ると全く心地良い物ではないはずだ。
それが分かっているのかと視線を向けると、彼はこくりと頷いて見せた。分かっている、という意思表明らしい。
「これが、俺たちの責任、だろ?」
「目をそらすなということか」
「そういうこと。それに……逃げてても、痛みは消えないからさ」
「……そうか。分かった」
そこまで言うのなら、付き合おうか。
立ち上がって痛みを堪えるような表情をしているデスサイズの、頭に今度は手ではなく帽子を乗せる。するとキョトンとした顔が見られたので、ウイングは口を開いた。
「帽子でも被っていろ。目くらいは見にくく出来るだろう」
「あー、そっか。実体だとそーいう問題が」
精神体で実体化をすれば人間の姿になれる。が、場合によってはその色彩が問題になってしまうこともあるのだ。ウイング自身も髪の色が白かったりするのだが、そこは珍しいと言うだけで済みそうだから置いておいても良いだろう。ただ、流石にデスサイズの瞳の紅はどうしようもない。
ちなみに彼の髪は普通に黒。ただしその長さが長すぎるためにこちらも悪目立ちだ。
…が、やはり長すぎるために、こちらは隠しようがない。
そういうわけなので、出来ることはこのくらいなのである。
「行くか」
「了解っ…てか、この帽子ってお前が使う予定だったとか?」
「予定は予定だ」
「そっか…さんきゅーな」
「気にするな」
そう言い合いながら、二人一緒に建物の階段を下りる。
そして……一番下まで辿り着いて、そこにいた相手に驚いた。
何を考えているか分かりにくい無表情の中に、どこか険しさを含んでいる、精神体では長いと短いの間程度の長さの黒髪を持つ、その仲間は。
「ヘビーアームズ…?」
「お前もこっちに来てたんだ」
「……」
ウイングとデスサイズの言葉にこく、と頷いて、ヘビーアームズはそれからじっとデスサイズの顔を見つめた。
「…何か付いてる?」
「……」
小首を傾げた彼に首を振って答え、ヘビーアームズは、それから。
ギュッと、デスサイズに抱きついた。
……あぁ、この状況は知ってる。ていうか自分もやった。
そういうわけなので何となく冷静に眺めることが出来たのだが、二度目であろうとやはり慌てる者は慌てるらしい。抱きつかれた問う本人は酷く焦った様子である。
「ちょ…ヘビーアームズ何やって…」
「……何も出来なくてごめん」
言葉を遮るように言葉を紡ぎ、ヘビーアームズはさらに腕に力を込めたようだった。
「痛い?まだ、痛い?」
「…あぁ、そうだな。痛い、かな」
「右腕が?体が?心が?」
「…全部、かも」
「ごめん」
普段とは全く違い、よく喋りながらヘビーアームズは泣いているようだった。
「痛みに、辛さがさらに付け加えられるかもしれない事も、本当に、ごめん」
そう彼が言うのと同時に、コロニーの外側にある兵器が作動するのを感じた。
何で死なないといけないのかと言われたら、それは戦争だからと答えるのだろうと思うけどね。
やっぱり何とも言い難い。
その光景を建物の屋上から立って眺めつつ、ウイングは傍でフェンスにもたれかかって座っている仲間に視線を向けた。
「トラウマにでもなったか?」
「…分かんないけど」
とりあえず嫌だ。
小さくそう呟くデスサイズの頭にポンと手を乗せて、ウイングは改めて下の風景を見る。
あれは、ウィナー家の人間に対するデモらしい。そして、そのウィナー家と言えば確か……サンドロックのパイロットの実家だったか。資源衛生を多く所有している、発言力もあるらしい家だからOZのターゲットにされてしまったのか。不幸なことだ。
ともかく、ここにサンドロックがいなくて良かったと思うと同時に、この場所に来てしまったことに対する悔いを覚えた。こういう光景こそ、今のデスサイズに見せてはならない光景であろうに。いくら予想できない事態だったとはいえ、その点は本当に後悔するしかない。
今度から、ちゃんと問題が起こる前兆があるかどうかは調べる必要があるだろうか。少なくとも、これからしばらくは。
ではそうしようかと決めて、ウイングはデスサイズの腕を取った。
「…ウイング?」
「いつまでもここにいても何も変わらないだろう。別のコロニーに行くか?」
「…いや、何か起こりそうだから、しばらくここにいる」
「……良いのか?」
これから起こることは、恐らく自分たちから見ると全く心地良い物ではないはずだ。
それが分かっているのかと視線を向けると、彼はこくりと頷いて見せた。分かっている、という意思表明らしい。
「これが、俺たちの責任、だろ?」
「目をそらすなということか」
「そういうこと。それに……逃げてても、痛みは消えないからさ」
「……そうか。分かった」
そこまで言うのなら、付き合おうか。
立ち上がって痛みを堪えるような表情をしているデスサイズの、頭に今度は手ではなく帽子を乗せる。するとキョトンとした顔が見られたので、ウイングは口を開いた。
「帽子でも被っていろ。目くらいは見にくく出来るだろう」
「あー、そっか。実体だとそーいう問題が」
精神体で実体化をすれば人間の姿になれる。が、場合によってはその色彩が問題になってしまうこともあるのだ。ウイング自身も髪の色が白かったりするのだが、そこは珍しいと言うだけで済みそうだから置いておいても良いだろう。ただ、流石にデスサイズの瞳の紅はどうしようもない。
ちなみに彼の髪は普通に黒。ただしその長さが長すぎるためにこちらも悪目立ちだ。
…が、やはり長すぎるために、こちらは隠しようがない。
そういうわけなので、出来ることはこのくらいなのである。
「行くか」
「了解っ…てか、この帽子ってお前が使う予定だったとか?」
「予定は予定だ」
「そっか…さんきゅーな」
「気にするな」
そう言い合いながら、二人一緒に建物の階段を下りる。
そして……一番下まで辿り着いて、そこにいた相手に驚いた。
何を考えているか分かりにくい無表情の中に、どこか険しさを含んでいる、精神体では長いと短いの間程度の長さの黒髪を持つ、その仲間は。
「ヘビーアームズ…?」
「お前もこっちに来てたんだ」
「……」
ウイングとデスサイズの言葉にこく、と頷いて、ヘビーアームズはそれからじっとデスサイズの顔を見つめた。
「…何か付いてる?」
「……」
小首を傾げた彼に首を振って答え、ヘビーアームズは、それから。
ギュッと、デスサイズに抱きついた。
……あぁ、この状況は知ってる。ていうか自分もやった。
そういうわけなので何となく冷静に眺めることが出来たのだが、二度目であろうとやはり慌てる者は慌てるらしい。抱きつかれた問う本人は酷く焦った様子である。
「ちょ…ヘビーアームズ何やって…」
「……何も出来なくてごめん」
言葉を遮るように言葉を紡ぎ、ヘビーアームズはさらに腕に力を込めたようだった。
「痛い?まだ、痛い?」
「…あぁ、そうだな。痛い、かな」
「右腕が?体が?心が?」
「…全部、かも」
「ごめん」
普段とは全く違い、よく喋りながらヘビーアームズは泣いているようだった。
「痛みに、辛さがさらに付け加えられるかもしれない事も、本当に、ごめん」
そう彼が言うのと同時に、コロニーの外側にある兵器が作動するのを感じた。
何で死なないといけないのかと言われたら、それは戦争だからと答えるのだろうと思うけどね。
やっぱり何とも言い難い。
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