式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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ついに、実力行使。
その手紙には、ただ場所と、時間と、少しの文章だけが書かれていた。
「全くくだらない…」
そして、その手紙を握りつぶし、リントは手紙にあった場所へとやって来ていた。当然、手紙を出した何者かを捕らえるためである。
来ない、ということは無いだろう。文章には『取引』という言葉が記されていた。ならば、取引をする相手が存在しなければ、事は成り立たないという事になる。
来なかったら来なかったでその時はその時。
今度は、手紙を置きに来る事が出来た生徒全員を停学にしてしまえばいい。
それだけの事、なのだ。
「生徒は黙って教師に従っていれば良いというのに」
ブツブツと呟きながら建物の壁に寄り、そこに背を預けて止まる。
時間は、もう少しだけ猶予がある。
相手が来るとしても、もう少し先だろう。
「私たちがいなければ何も出来ない子供のくせに…反抗心だけは人一倍。面倒な事この上ありませんね、本当に」
誰が導いてやっているのか、それを忘れた愚かな子供たち。
早急に、目を覚まさせてやらなければならないだろう。
手段など、構っている余裕はあろうと構わない。
容赦など必要ないのだから。
「それにしても遅いですね…」
腕時計を確認しつつ、ポツリと。
「もう五分前なのですが…」
「…あの」
と、そんなことを呟いていると不意に前方から声がかけられ、視線をそちらに向け……少しがっかりとした。間違いなく、彼は自分の待ち人ではなかった。手に持っている自分の持っているのと同じ手紙がそれをよりハッキリと告げている。
やって来たのは、沙慈だった。
彼はどこか所在なさそうにキョロキョロと辺りを見渡しつつ、自分が手に握っている手紙を確認したようで、やや小走りに近寄ってきた。
「…リント先生も、ですか?」
「沙慈君、君の手紙を見せてくれませんか?」
「あ…はい」
怖ず怖ずと差し出されたそれを受け取り、リントは素早くそれに視線を走らせた。
曰く。
「『とりあえず行け』…と」
場所、日時は全く同じ。けれども下の文章だけは確実に違っていた。
こんな言葉で人を呼び出すのか、この手紙の差し出し手は。
というか…こんな文章でやって来るのか、沙慈という生徒は。彼のそのような性格を考慮した上でこのような文章を書き、出したのだろうがそれにしても。
「君にはこのような手紙をもらう心当たりは?」
「無いです。何か、移動教室から帰ったらあったんで。…六時間目の最中だからどうしようかと思ったんですけれど、念のために来ておこうかなって」
「そうですか。後日君には処置を伝えましょう」
「…ですよね」
「当然です」
どこか弱気な様子で頷く彼に、頷いてみせる。
学生が学業を放り出して平気で済む道理など無い。
今回は話が話であるし、彼はさほど自分たちに抵抗する意志もないようだから……このあたりで寛大さを見せるために、彼は軽めの処置で済ませてやるのも良いかもしれない。
それに関しては後でメンバー全員で話し合う事にして、とりあえず沙慈を授業に戻すべく、リントは彼の方を見て口を開いた。
「君はもう戻りなさい。授業を疎かにするなど許される事ではありません」
「…はい」
すっかり消沈してしまった様子で彼は頷き、とぼとぼと戻ろうと足を踏み出したところで……こちら振り向いて、大きく目を見開いた。
何だ?と思わず彼の方に足を一歩踏み出すと、直ぐ後ろでがしゃんと言う音。
「…?」
思わず視線を後ろに向け、リントは固まった。
そこには、割れた植木鉢。そして、最初にそこには何もなかった。
つまり、上から降ってきた。
…降って?
しかも、自分の頭上に?
もしも一歩足を踏み出さなければ、あるいは。
バッと上を見上げれば、三階建ての四角い建物のその最上階…つまり三階に、いくつもの植木鉢の影があった。一つ、欠けているのもハッキリと分かる。ということは、あそこからそれは落とされたという事。
狙いは、当然。
それに確かに思い至って、瞬間、視界がブラックアウトした。
そして翌日へと話は続きます。
あと二話で終了予定ですので、どうかそれまでおつきあいお願いします。
「全くくだらない…」
そして、その手紙を握りつぶし、リントは手紙にあった場所へとやって来ていた。当然、手紙を出した何者かを捕らえるためである。
来ない、ということは無いだろう。文章には『取引』という言葉が記されていた。ならば、取引をする相手が存在しなければ、事は成り立たないという事になる。
来なかったら来なかったでその時はその時。
今度は、手紙を置きに来る事が出来た生徒全員を停学にしてしまえばいい。
それだけの事、なのだ。
「生徒は黙って教師に従っていれば良いというのに」
ブツブツと呟きながら建物の壁に寄り、そこに背を預けて止まる。
時間は、もう少しだけ猶予がある。
相手が来るとしても、もう少し先だろう。
「私たちがいなければ何も出来ない子供のくせに…反抗心だけは人一倍。面倒な事この上ありませんね、本当に」
誰が導いてやっているのか、それを忘れた愚かな子供たち。
早急に、目を覚まさせてやらなければならないだろう。
手段など、構っている余裕はあろうと構わない。
容赦など必要ないのだから。
「それにしても遅いですね…」
腕時計を確認しつつ、ポツリと。
「もう五分前なのですが…」
「…あの」
と、そんなことを呟いていると不意に前方から声がかけられ、視線をそちらに向け……少しがっかりとした。間違いなく、彼は自分の待ち人ではなかった。手に持っている自分の持っているのと同じ手紙がそれをよりハッキリと告げている。
やって来たのは、沙慈だった。
彼はどこか所在なさそうにキョロキョロと辺りを見渡しつつ、自分が手に握っている手紙を確認したようで、やや小走りに近寄ってきた。
「…リント先生も、ですか?」
「沙慈君、君の手紙を見せてくれませんか?」
「あ…はい」
怖ず怖ずと差し出されたそれを受け取り、リントは素早くそれに視線を走らせた。
曰く。
「『とりあえず行け』…と」
場所、日時は全く同じ。けれども下の文章だけは確実に違っていた。
こんな言葉で人を呼び出すのか、この手紙の差し出し手は。
というか…こんな文章でやって来るのか、沙慈という生徒は。彼のそのような性格を考慮した上でこのような文章を書き、出したのだろうがそれにしても。
「君にはこのような手紙をもらう心当たりは?」
「無いです。何か、移動教室から帰ったらあったんで。…六時間目の最中だからどうしようかと思ったんですけれど、念のために来ておこうかなって」
「そうですか。後日君には処置を伝えましょう」
「…ですよね」
「当然です」
どこか弱気な様子で頷く彼に、頷いてみせる。
学生が学業を放り出して平気で済む道理など無い。
今回は話が話であるし、彼はさほど自分たちに抵抗する意志もないようだから……このあたりで寛大さを見せるために、彼は軽めの処置で済ませてやるのも良いかもしれない。
それに関しては後でメンバー全員で話し合う事にして、とりあえず沙慈を授業に戻すべく、リントは彼の方を見て口を開いた。
「君はもう戻りなさい。授業を疎かにするなど許される事ではありません」
「…はい」
すっかり消沈してしまった様子で彼は頷き、とぼとぼと戻ろうと足を踏み出したところで……こちら振り向いて、大きく目を見開いた。
何だ?と思わず彼の方に足を一歩踏み出すと、直ぐ後ろでがしゃんと言う音。
「…?」
思わず視線を後ろに向け、リントは固まった。
そこには、割れた植木鉢。そして、最初にそこには何もなかった。
つまり、上から降ってきた。
…降って?
しかも、自分の頭上に?
もしも一歩足を踏み出さなければ、あるいは。
バッと上を見上げれば、三階建ての四角い建物のその最上階…つまり三階に、いくつもの植木鉢の影があった。一つ、欠けているのもハッキリと分かる。ということは、あそこからそれは落とされたという事。
狙いは、当然。
それに確かに思い至って、瞬間、視界がブラックアウトした。
そして翌日へと話は続きます。
あと二話で終了予定ですので、どうかそれまでおつきあいお願いします。
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