[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
凄い横暴…だぁ。
59:地図
暇だから、と出てきてしまったのは良いのだが。
「……どこに行けば良いんだ…?」
とある店頭に置いてあった地図をじっと睨み、ウイングは首を傾げた。
町外れで、隣の山と言ってもどのような場所なのかと思い至ったのは幸運だったのだろう。もしも気付かなかったら山で遭難して、最後までラスボスに出遭えず終いになりかねなかったのだから。
まぁ、ここで足止めを食っていたとしても何も変わらないのだが。
とりあえず、二種類ある『隣の山』のどちらが本命なのか、知る必要があるだろう。
…酒場にでも行ってみようか。こういうのは、そういう所に行って情報収集、というのはまさにRPGという感じがする。ということは、このRPGの世界において、その手段がとても有効であると言うことなのだ。
割と、そういう基本は押さえているようだから。
もっとも、そうでなければRPGなどと呼ぶことは出来なかっただろう。
どうせならもっと裏ルートでも作り上げて楽にクリアできるような道を用意してくれれば良かったのにと、どこか八つ当たり気味に思い息を吐いていると、ふいに聞き知った声が耳に届いたような気がして、辺りを見渡す。
「見つけたぞ!」
「ウイングさん、こんなところにいたのですか」
「…お前たちか」
果たして、現れたのはスターゲイザーとノワールだった。
この結果には少しばかり驚かせてもらう。てっきり自分を最初に見つけるのはいつもの如く、デスサイズだとばかり思っていた。しかし、よく考えれば彼は自分が山の場所を知らないことに気付いたことを知らない。というか、二つ山があるなんて知りもしないだろう。隣というなら隣で、街の周辺をざっと見渡せば分かるような気もするのだが、今の、自分の行動を阻止しようとばかり思っている彼に、それを気付けるような余裕はないに違いないのだった。
器用なくせに、妙なところに落とし穴。
焦っていると分かり切ったことも見落とすのである。
それだけ心配されていると考えれば前向き、なのだがしかし。多分、彼が心配しているのは自分ではなくてむしろ周りの環境とかそういう系だろう。
と、それはともかくとして。
まずは、目の前にいる二人をどうするかが先だ。
「何の用だ?」
「いえ、デスサイズさんから貴方を止めるようにと言われたので」
「一人でラスボスを倒しに行くなど、無茶ぶりにも程があるだろう」
「別に満身創痍でなければ一人でもどうにかなる」
「…どこから来るんだその自信は」
「ともかく、そうだとしても一人ではダメです」
「大丈夫だと本人が言っているのにか」
「本人の言葉だけでは信用できません」
それは、そうかもしれないが。
だが、以前相対したときを考えてみると、実際あまり問題はないと思うのだ。満身創痍でもなく自分は完全に健康状態。むしろ負けるべき要素が見あたらないというか。ゴッドでも連れて行ければ完璧だったかも知れない。
だから、大丈夫だと思うのだが。
それでもスターゲイザーは首を横に振る。
「考えてみてください。今回と以前と、力が一緒だとは限らないのです。それにラスボスというか、相手は裏ボスです。絶対強いに違いないんです」
「じゃあお前たちが来い」
「何?」
「一人では危ないんだろう」
ならば自分だけでなくスターゲイザー、ノワールを連れて行けばいい。これなら一人でもないし、問題はないだろう。
「どうだ?」
「ど…どうだもこうだもない!そんなの認められるわけが…」
「…精一杯の譲歩を拒否するのなら、こちらにも考えがある」
そう言ってウイングは。
どこからともなく取り出した…否、出現させたツインバスターライフルを、ぴたりとノワールの額に照準を合わせて止めた。そうすることで自然と、ノワールの言葉も途切れる。
「実際に撃つとしたら右腕程度だろうが…邪魔をするなら排除する」
「く…っ」
「どうするんだ?」
「…良いでしょう」
答えたのは、スターゲイザーだった。
彼は隣から銃身を横に押しのけ、言った。
「私たちも行きます。隣の山へ、案内しましょう」
おぉ…なんか今までで一番ウイングが暴走できてるかも知れない…。ストッパー(某死神のこと)がいないからかもしれないけれどね…。