式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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佐助は情報通。
「伊達ちゃんも苦労してんだね」
「伊達ちゃん言うな」
「良いじゃん別にこのくらい。匿ってあげてるんだしさ」
「……」
「あまりそう言ってやるな、佐助。しかし…先ほどの女性が、お前の母親だと?」
「…そーだよ」
「随分と似ているんだな。父親とはどうなんだ?」
「そこそこ…っていうか、あの人が通り過ぎていったってんなら、俺は今すぐにでも廊下に出て学校外に出て家に帰って鍵を閉める」
「まぁまぁ、落ち着きなって」
速くその場を立ち去りたいと体全てで表している政宗に苦笑しつつ、佐助は彼を落ち着けるような身振りをした。
「ここ三階だけど、そこは分かってる?」
「…分かってる」
「じゃあ、お母さん以外に片倉先生まで探してるって言うのも、分かってる?」
「……分かってる」
「じゃあ、それを踏まえて結論を言うけどね」
にこりと笑って、それから。
「それ無謀」
三階から一階に下りて、そこから昇降口へ。下足に履き替えた後に走って逃げる、などと、そんなことが出来るわけがないのである。特に政宗の場合、小十郎相手では。彼らは大人で政宗は高校生で、逃亡の際に使える足にも大きく違いがある。
だいたい、三階から下りている最中に誰にも見つからないなんて、そんなご都合展開がそう簡単に訪れないだろうというのが、自分の意見。
数秒ほど視線を何もない中に彷徨わせていた政宗だったが、諦めでもしたのだろう、はぁ、とため息を吐いて肩を落とした。
「ったく…本当にやってらんねぇ」
「お前、一体何をしたんだ?母親に…しかも片倉小十郎にまでああやって追いかけられるなんて……普通はないだろう」
「何をしたって言うか…何もしてねぇからこうなってんだけど」
「あ、ってことはあの噂って本当だったんだ」
「噂?」
何だそれは、とかすがが訝しげな視線を向けてくる。
対して佐助は肩をすくめて口を開いた。
「いやね、伊達ちゃんがとあるトコの次のリーダーになるならないで親と揉めてるっていう話があってさ」
ちなみにこれ、噂とか言っておいて実はトップシークレット。恐らく学園広しと言えども、せいぜい自分と小十郎と…張本人たる政宗くらいか、知ってるのは。
それもそうだろうと思う。
恐らくだが、この手の話が出てこないようにと政宗は血の滲むような努力をしているようなのだ。その痕跡を最近、佐助は見つけたばかりである。結果として成果が出て、事実を知るメンバーが自分たちだけになっているわけだし、これは間違いないだろう。
「で、どう?あってる?」
「…まーな。軽く口にしやがった事はともかく、そういう言葉を選んだ事には素直に感謝してやる」
「そりゃどうも」
確認の質問に返された返答に、軽く頭を下げる、ふりをした。
頭を上げて、それにしても、と腕を組んでグランドの方を眺めるかすがに視線を向ける。
「…どうして私たちに助けを求めたんだ?毛利たちでも構わないだろうに」
「アイツらだったら下手すると売られる」
「あぁ、チカちゃんはともかく生徒会長さんはね…」
面白そうと判断したら、あるいはやりかねないかもしれない。
そう考えると、彼のこの判断はある意味で正しいのだろう。かすがは最初からそういった事態に興味はないし、佐助は今回ばかりは事が事だけに政宗に同情的だ。自分のことに関しては偶然であったとはいえ、ある程度の信頼は置いていてくれたと言うことだろう。
もしかしたら、中々に嬉しいことかも知れなかった。
「…やっぱ行く。迷惑かけ続けるわけにもいかねーし」
「別にもう少しくらい問題ないけど」
「そうだな。というか、今は外に出ない方が良い」
「What?何でだよ」
「外を見ろ」
かすがが窓の外を指さし、政宗がそこを覗き込むのと同様に、佐助も身を乗り出して……表情を引き攣らせた。
「うわ…あそこまでやる?」
「…今回はマジで本気なのかよ…」
グランドの方にある正門。
その前に止まっているたくさんの黒い車の正体など、考えるまでもなく分かり切ったことだった。
徹底してるお母さん。逃げる方は大変です。
「伊達ちゃん言うな」
「良いじゃん別にこのくらい。匿ってあげてるんだしさ」
「……」
「あまりそう言ってやるな、佐助。しかし…先ほどの女性が、お前の母親だと?」
「…そーだよ」
「随分と似ているんだな。父親とはどうなんだ?」
「そこそこ…っていうか、あの人が通り過ぎていったってんなら、俺は今すぐにでも廊下に出て学校外に出て家に帰って鍵を閉める」
「まぁまぁ、落ち着きなって」
速くその場を立ち去りたいと体全てで表している政宗に苦笑しつつ、佐助は彼を落ち着けるような身振りをした。
「ここ三階だけど、そこは分かってる?」
「…分かってる」
「じゃあ、お母さん以外に片倉先生まで探してるって言うのも、分かってる?」
「……分かってる」
「じゃあ、それを踏まえて結論を言うけどね」
にこりと笑って、それから。
「それ無謀」
三階から一階に下りて、そこから昇降口へ。下足に履き替えた後に走って逃げる、などと、そんなことが出来るわけがないのである。特に政宗の場合、小十郎相手では。彼らは大人で政宗は高校生で、逃亡の際に使える足にも大きく違いがある。
だいたい、三階から下りている最中に誰にも見つからないなんて、そんなご都合展開がそう簡単に訪れないだろうというのが、自分の意見。
数秒ほど視線を何もない中に彷徨わせていた政宗だったが、諦めでもしたのだろう、はぁ、とため息を吐いて肩を落とした。
「ったく…本当にやってらんねぇ」
「お前、一体何をしたんだ?母親に…しかも片倉小十郎にまでああやって追いかけられるなんて……普通はないだろう」
「何をしたって言うか…何もしてねぇからこうなってんだけど」
「あ、ってことはあの噂って本当だったんだ」
「噂?」
何だそれは、とかすがが訝しげな視線を向けてくる。
対して佐助は肩をすくめて口を開いた。
「いやね、伊達ちゃんがとあるトコの次のリーダーになるならないで親と揉めてるっていう話があってさ」
ちなみにこれ、噂とか言っておいて実はトップシークレット。恐らく学園広しと言えども、せいぜい自分と小十郎と…張本人たる政宗くらいか、知ってるのは。
それもそうだろうと思う。
恐らくだが、この手の話が出てこないようにと政宗は血の滲むような努力をしているようなのだ。その痕跡を最近、佐助は見つけたばかりである。結果として成果が出て、事実を知るメンバーが自分たちだけになっているわけだし、これは間違いないだろう。
「で、どう?あってる?」
「…まーな。軽く口にしやがった事はともかく、そういう言葉を選んだ事には素直に感謝してやる」
「そりゃどうも」
確認の質問に返された返答に、軽く頭を下げる、ふりをした。
頭を上げて、それにしても、と腕を組んでグランドの方を眺めるかすがに視線を向ける。
「…どうして私たちに助けを求めたんだ?毛利たちでも構わないだろうに」
「アイツらだったら下手すると売られる」
「あぁ、チカちゃんはともかく生徒会長さんはね…」
面白そうと判断したら、あるいはやりかねないかもしれない。
そう考えると、彼のこの判断はある意味で正しいのだろう。かすがは最初からそういった事態に興味はないし、佐助は今回ばかりは事が事だけに政宗に同情的だ。自分のことに関しては偶然であったとはいえ、ある程度の信頼は置いていてくれたと言うことだろう。
もしかしたら、中々に嬉しいことかも知れなかった。
「…やっぱ行く。迷惑かけ続けるわけにもいかねーし」
「別にもう少しくらい問題ないけど」
「そうだな。というか、今は外に出ない方が良い」
「What?何でだよ」
「外を見ろ」
かすがが窓の外を指さし、政宗がそこを覗き込むのと同様に、佐助も身を乗り出して……表情を引き攣らせた。
「うわ…あそこまでやる?」
「…今回はマジで本気なのかよ…」
グランドの方にある正門。
その前に止まっているたくさんの黒い車の正体など、考えるまでもなく分かり切ったことだった。
徹底してるお母さん。逃げる方は大変です。
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