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…何でこの二人にしたんだ自分…。
083:ひとり
「あら、貴方、ツッ君の知り合いの人?」
「あ゛?」
「あらあらやっぱり!」
偶然バッタリと曲がり角で出くわしたその女性は、そう言って何だか嬉しそうに笑った。
対して…スクアーロは、状況が飲み込めずに僅かばかり唖然としていた。見知ってもいない女性に突然誰かの知り合いであると断言されて、戸惑わない人間はさすがにそんなにいないだろう。ヴァリアー内にだって…あぁ、気にしないヤツらはいるか。
それにしてもしかし、彼女の方は完全に自分が誰なのかに思い至っているらしい。
間違いない、という様子に、とりあえずスクアーロも何かあっただろうかと記憶を辿ってみることにする。
そうして結果。
「…あ゛ぁ、綱吉の」
「覚えていてくれたの?」
ふふ、と余計に嬉しさを増した笑みを浮かべる彼女は、そうだ。綱吉の母にして家光の妻、沢田奈々。以前ちょっとだけ綱吉に用事があった…まぁ、つまりは九代目からこっちに任務で行くついでに手紙を渡せと言われたのだが…そして断れなかったのだが……そう言うときに、ちょっとだけ顔は見ていたのだった。家の前で受け渡したから。
それにしてもよく覚えていたと、ほんの僅かばかり奈々に対して賞賛の意を抱く。あれだけの邂逅…いや、邂逅と呼ぶもおこがましい顔合わせで、ここまでしっかりと自分の事を覚えていたとは。
「や、俺は良いんだけどなぁ…アンタどうして俺の事が分かったんだ?」
「あら、貴方、ツッ君のお友達でしょう?」
「と……友ぉ!?」
「だったら覚えておくのは当然だわ」
「いや友とか違…っ」
「忘れてしまっては失礼ですもの。お友達の一人なんですから」
「………………そうかよ」
ニコリと笑んで言う奈々に、スクアーロは脱力しながらもどうにか答えた。
奈々さん最強伝説。ていうか、やっぱりあの人は強いと思う。