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ようやく辿り着いた親子対決…。
突然現れた少年の行動に唖然としていたのも数秒のこと。
原因や過程はどうであれ、姿を見せたのだからこれは好機。
つかつかと購買の方へ、突然現れた少年の顔面を踏みつけている我が子の元へと向かい、少し離れたところで立ち止まる。
「政宗、」
「…母上」
「どうしてそこまで奥州筆頭の名を継ぐのを嫌がるのです」
「俺は…」
顔面を踏んでいた足で一度、力一杯に少年の腹を踏みつけた後、政宗はこちらを見た。完全に気絶してしまった少年の事は地べたに放置して。
「俺は…普通の生活がしたいんだ」
「普通でしょう。長男が父の跡を継ぐというのは」
「そーゆー普通じゃなくって!俺は、日常的に命が危険に晒されるような生活がいやなんだって言ってんだよ!」
「どこにいても『事故』はあるものでしょう?」
「アンタらの『事故』と世間一般の『事故』は種類が違うんだよ……」
どこか疲れた様子を見せる政宗に、はてと首を傾げる。
別に、違いなど無いと思うのだけれど。世間一般の事故とは交通事故や上から偶然落ちてきた物に当たること、偶然接触してしまう事など、多岐に渡るが自分たちの思う『事故』とと大差ないはずだ。そこにとある人間の意図が入るか入らないか、違うとしたらその辺りだけだろう。
原因はともかく、過程と結果が同じならば同じ物と言うことで良いだろうに。
「不思議なことを言いますね、政宗。普通でしょう、私たちの『事故』も。貴方もそう思いませんか、小十郎」
「いえ……そこは返答を控えさせていただきます」
「…?そうですか。まぁ、それでも構いませんが」
煮え切らない小十郎の返答を訝しく思うが、今はそちらよりも政宗のことの方が先決だ。
気持ちを切り替えて、説得を続ける。
「『事故』については置いておきましょう」
「延々と平行線っぽいからな…正しい判断だぜ、母上」
「ですが、やはり解せません。跡を継ごうと継ぐまいと、学校には通えますよ?友達も作れますし、今と何ら変わりはないと思いますが」
「継ぐ、っつったら向こうに返らないとなんねーだろ」
「え!?それホントだったの!?」
ふいに、先ほど政宗が隠れていた段ボールの後ろから新しい誰かの顔が覗いた。男子生徒で、もしかしたら彼が政宗の逃亡を手助けしていたのかも知れない。
それにしても、今の言葉。彼はある程度事情を知っているらしい。
隠す隠すと言いながら結局隠し通せていないじゃないかと思いながらも、やはりそちらも些事なので返答する気にはなれなかった。今この瞬間、政宗の説得以外の全ては些事となっていた。だから、段ボール箱の後ろから別の手が伸びて、その男子生徒の頭を掴んで強制的に引っ込めたことも気にしなかった。どうせ、そこにもう一人いると言うだけだろう。ただそれだけだ。
「…だから何だというのです。高卒の資格は貰えますよ」
「俺はここが好きなんだよ」
「…?しかし設備はそれほど充実してるとは言い難いと思いますけれど」
「……設備はどーでも良いんだよ。ここでの学校生活が楽しいんだよ」
「…そうですか」
その感覚は、自分にはいくら考えても分からないことだろう。
だとするとこちらこそ平行線だ。ならば話題を変え、切り札を出させてもらうことにしようか。
「では政宗」
「…何だよ、改まって」
警戒したように一歩足を引く子に、ニコリと微笑んでみせる。
「小次郎に跡を継げと言うのですね」
「…っ!」
「あの子にそれが全く向かないことを、貴方は誰より知っているはずですね?しかし貴方が跡を継がないとなると、自然とあの子が跡を継ぐことになりますが」
「……」
「さぁ、どうします?」
訊きながらも、内心でほくそ笑む。これで詰み、だろう。
政宗が弟のことを大切に思っていることは良く知っている。何せ母親なのだから。その思いを利用することに若干の後ろめたさも最初はあったが、こうすることが二人のためにもなるだろうと思って以来、そういった類のことはあまり思わないようになった。少しばかり、心の端が疼く程度のことで。
それでも返事を逡巡している政宗の答えを今か今かと待っていたその時。
ざ、と足音が聞こえ、その音が聞こえてきた方へと視線を向ける。
そこには、二人の男子生徒が立っていた。先ほど、生徒会室で会った二人だ。
「面白そうな話をしておるな。我も混ぜるが良い」
そして、生徒会長だと名乗った彼は、鉄製の扇子でパンと手のひらを叩いた。
そして降臨成された生徒会長。
次でラストくらいですかね…。
原因や過程はどうであれ、姿を見せたのだからこれは好機。
つかつかと購買の方へ、突然現れた少年の顔面を踏みつけている我が子の元へと向かい、少し離れたところで立ち止まる。
「政宗、」
「…母上」
「どうしてそこまで奥州筆頭の名を継ぐのを嫌がるのです」
「俺は…」
顔面を踏んでいた足で一度、力一杯に少年の腹を踏みつけた後、政宗はこちらを見た。完全に気絶してしまった少年の事は地べたに放置して。
「俺は…普通の生活がしたいんだ」
「普通でしょう。長男が父の跡を継ぐというのは」
「そーゆー普通じゃなくって!俺は、日常的に命が危険に晒されるような生活がいやなんだって言ってんだよ!」
「どこにいても『事故』はあるものでしょう?」
「アンタらの『事故』と世間一般の『事故』は種類が違うんだよ……」
どこか疲れた様子を見せる政宗に、はてと首を傾げる。
別に、違いなど無いと思うのだけれど。世間一般の事故とは交通事故や上から偶然落ちてきた物に当たること、偶然接触してしまう事など、多岐に渡るが自分たちの思う『事故』とと大差ないはずだ。そこにとある人間の意図が入るか入らないか、違うとしたらその辺りだけだろう。
原因はともかく、過程と結果が同じならば同じ物と言うことで良いだろうに。
「不思議なことを言いますね、政宗。普通でしょう、私たちの『事故』も。貴方もそう思いませんか、小十郎」
「いえ……そこは返答を控えさせていただきます」
「…?そうですか。まぁ、それでも構いませんが」
煮え切らない小十郎の返答を訝しく思うが、今はそちらよりも政宗のことの方が先決だ。
気持ちを切り替えて、説得を続ける。
「『事故』については置いておきましょう」
「延々と平行線っぽいからな…正しい判断だぜ、母上」
「ですが、やはり解せません。跡を継ごうと継ぐまいと、学校には通えますよ?友達も作れますし、今と何ら変わりはないと思いますが」
「継ぐ、っつったら向こうに返らないとなんねーだろ」
「え!?それホントだったの!?」
ふいに、先ほど政宗が隠れていた段ボールの後ろから新しい誰かの顔が覗いた。男子生徒で、もしかしたら彼が政宗の逃亡を手助けしていたのかも知れない。
それにしても、今の言葉。彼はある程度事情を知っているらしい。
隠す隠すと言いながら結局隠し通せていないじゃないかと思いながらも、やはりそちらも些事なので返答する気にはなれなかった。今この瞬間、政宗の説得以外の全ては些事となっていた。だから、段ボール箱の後ろから別の手が伸びて、その男子生徒の頭を掴んで強制的に引っ込めたことも気にしなかった。どうせ、そこにもう一人いると言うだけだろう。ただそれだけだ。
「…だから何だというのです。高卒の資格は貰えますよ」
「俺はここが好きなんだよ」
「…?しかし設備はそれほど充実してるとは言い難いと思いますけれど」
「……設備はどーでも良いんだよ。ここでの学校生活が楽しいんだよ」
「…そうですか」
その感覚は、自分にはいくら考えても分からないことだろう。
だとするとこちらこそ平行線だ。ならば話題を変え、切り札を出させてもらうことにしようか。
「では政宗」
「…何だよ、改まって」
警戒したように一歩足を引く子に、ニコリと微笑んでみせる。
「小次郎に跡を継げと言うのですね」
「…っ!」
「あの子にそれが全く向かないことを、貴方は誰より知っているはずですね?しかし貴方が跡を継がないとなると、自然とあの子が跡を継ぐことになりますが」
「……」
「さぁ、どうします?」
訊きながらも、内心でほくそ笑む。これで詰み、だろう。
政宗が弟のことを大切に思っていることは良く知っている。何せ母親なのだから。その思いを利用することに若干の後ろめたさも最初はあったが、こうすることが二人のためにもなるだろうと思って以来、そういった類のことはあまり思わないようになった。少しばかり、心の端が疼く程度のことで。
それでも返事を逡巡している政宗の答えを今か今かと待っていたその時。
ざ、と足音が聞こえ、その音が聞こえてきた方へと視線を向ける。
そこには、二人の男子生徒が立っていた。先ほど、生徒会室で会った二人だ。
「面白そうな話をしておるな。我も混ぜるが良い」
そして、生徒会長だと名乗った彼は、鉄製の扇子でパンと手のひらを叩いた。
そして降臨成された生徒会長。
次でラストくらいですかね…。
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