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いつでも眠い季節になりましたね…春眠暁を覚えないんです。
10.うつらうつら
おや、とアレルヤは目をぱちくりと見開いた。
珍しいというか、滅多にないというか。
刹那が、寝ている。
しかもトレミーの中ではなくて、ここはトレミーの外の、自然のたくさんある場所である。彼は、そこにあった木の幹にもたれて目を閉じていたのだ。トレミーが泊まっている理由はちょっとした整備を行っているから、だ。
それよりも刹那だが……最近色々あったから、もしかしたら疲れていたのかも知れない。
何となく彼の隣に座ってみると、そこは想像以上に心地よかった。吹いてくる風からして気持ちが良いし、日差しも丁度良く調整されている。
ここならば、眠ってしまっても仕方がない。
そんなことを思っている内に、自分も何だか眠くなってきた。
眠ってしまおうか…どうしようか。
出発までは、まだ時間があったはずだ。なら、一眠りくらいしても問題はないだろう。問題があったとしたら…誰かが起こしに来てくれる、だろう、きっと。置いて行かれるのは流石にないと思う。
あったらちょっと怖いのだけれど。
流石にトレミーに徒歩で追いつくのは不可能だ。
置いて行かれませんようにと祈りつつ、瞳を閉じれば直ぐに睡魔は襲ってきた。どうやら、自分も疲れていたらしい。
そうして。
あえて睡魔に逆らわなかったからか、直ぐに意識は落ちた。
目を開いてみたら、肩の部分に見慣れた相手の見慣れた頭があって、思わず思考が一瞬ばかりほど止まってしまったのは仕方がないことだっただろう、きっと。
どういう事かと今までの流れをどうにか思い出し、刹那はとりあえず一つの結論を付けることに成功した。
つまり、自分を探すか見つけるかした彼が、ここに座って眠ってしまったのだろうという事。そして、これは間違いではないと思う。むしろこれ以外に正解があるというのなら是非とも自分が見せて欲しい気分だ。
しかし……どうしようかこれは。
正直、動けないのだが。
動いたら、多分アレルヤは起きる。何だかんだと言ってやはり超兵。そういう事には他の人々とは隔たりがあるほどに、敏感だ。
そして、刹那はここまで平和な顔をして寝ている相手を差し迫った問題があるでもないのに起こせるほど、鬼ではないのである。
どうするべきかと考えて、どうしようもないとの結論しか出ないことに息を吐きつつ、では自分は何をしようかと考える。どうせ動けないのだし何もないのだし、大分暇だ。もう一回寝直すのも手かも知れない。
むしろそれしか無いのではないだろうか。
ならばそういうことにしようと決めて、刹那は再び目を閉じた。
眠っていたのは先ほどだ。
直ぐに眠気はやって来た。
…そんな二人を微妙に遠くからライルは見ていた。
「…アイツらいつまで寝てんだろーな」
「知るか。あぁ…だが、しばらく寝かしてやれ。二人とも最近疲れていたようだからな」
「お、何だかんだでアンタも優しいねぇ」
直ぐ側にいたティエリアにからかうように話しかけると、軽く睨まれ……それだけだった。随分と態度が軟化した物だと、ほんの少し感動を覚える。
以前だったら間違いなく、銃が出てきたのに。
…などと言えば、本当に銃が出てくるので言わないが。
「で、いつまであのままにしとくつもりだ?」
「出発まで置いておいても問題ないだろう」
「やっぱり優しいねぇ?」
「この程度、何と言うこともない気遣いだろう」
ぱらと本のページを捲り、ティエリアはそう言った。
平和って素敵ですよね。
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