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そういえば、Reって、色んな生徒と家庭教師の組み合わせがあるんですよね。
086:棘
ラルの言葉は一々が尖っていると思う。
たまにグサリとくるその言葉たちにノックダウンさせられることもしばしばあるけれど、そうなった後に思うのは、いつだって同じようなこと。
「ラル、ってさ、その喋り方で損したこと無いの…?」
「は?」
「あ!いや、別に大したことじゃないんだけど!」
何を突然、と言わんばかりの視線を向けられて、綱吉は慌てて手を振った。
しまった。思わず口にして、疑問にしてしまった。ちょっとばかし言うのは止めた方が良いんじゃないだろうかと、考えていたことだったのに。
ちょっと自分の浅はかさに泣きたくなりそうだった。
そんな様子が見て取れたのか、ラルは呆れたようにこちらを見て、息を吐いた。
「これは性格からくるものだからな、どうしたって直らん」
「損したことある、んだ?」
「…あって悪いか」
そう言って、ラルはどこか遠い方を見るように視線を背けた。
あぁ、と綱吉はそれを見て思う。ラルは損をしたのだろう。その喋り方故にではなく、その性格故に。素直になれなかったのだろうなと、綱吉にでも分かるような理由で。
けれどどこか懐かしげに見えるのは、その損をしたときの相手が悪い人ではなかったからなのだろう。懐かしいというのは思い出であるということで、そういう風に静かに思い出せる思い出なら、決して汚くはない記憶だろうから。
少しだけ、羨ましいかも知れない。
そういう思い出を持っているラルが。
でも。
その言葉の底に、後悔が見えるのは気のせい?
その後悔こそが棘を持っているように見えるのは気のせいだろうか?
どうか、と思う。
どうか、その棘がラルを傷付けませんように。仲間が痛い、悲しい思いをするのは好きではないから。とても、とても。
とても。
未来編のころをイメージして。
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