一番という存在

超短文にして会話文にして雰囲気話になりました。

---

「君は分かっているかもしれないけれど、今の君のやり方ではどうやったって彼の一番にはなれない。一目会った瞬間から一番愛されている対象になるのをやめた君は君自身の事を分かっているという点で賢明だったけれど、だからといって一番嫌われている相手になろうと言う目論見は、それ以上に困難なことだったんだよ」

 

　どういう事？

 

「もう一度言うよ。分かってると思うけどね。だって、彼が一番嫌いなのは彼自身じゃないか。それは、多分どれだけ経っても変わらないんじゃないかな」

 

　……

 

「たとえ自分を許せるようになっても、やっぱり彼は彼自身を嫌い続けるんじゃないかな。少なくとも過去が、好きになるのを邪魔しようとするだろう。…それでもなおも努力して、彼が彼を本当の意味で一番嫌いで無くなった時、彼は全てを許せるくらいには成っている気がするよ。となれば、君への敵意だって消えるんじゃないかな、と思うわけだ」

 

　……そっか。

 

「そうなんだよ。…それで、君の感想は？」

 

　それこそ、分かり切ってるんだろ？

 

 

 

　知ってたよ、最初から。

 

 

 

　感想なんて、それだけさ。

---

「」の人は多分新羅。
シズちゃんの一番になるのは良い意味でも悪い意味でもきっととても難しいだろうなぁという話。