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仮、ですよ。もしもの話です。



もしも臨也さんが花粉症だったりしたら。


 季節ごとに、花粉と言う存在に苦しめられる人間がいる。
 そんな彼らが患う症状は『花粉症』と呼ばれ、それが一般に広く定着してるのは周知の事実だ。医者だろうと一般人だろうと闇医者だろうと、誰だって普通にその言葉を使う。
 けれど、花粉症にまつわる情報の中。
 折原臨也がそれを患っているというのは実はあまりよく知られていなかった。
「…まぁ、どうせ自分で情報操作してるんだろうけどねぇ…」
「…?何の話だ?」
「いや、彼が花粉症に苦しめられている事を知ってる人が少ないよねっていう話」
「…あぁ、そういやそうだな」
 いつもならばその名前を出しただけでブチ切れる静雄だったが、今日……というか、この季節ばかりはそうもいかないらしい。確かに、風邪でもなく鼻水をずびずび言わせている対象に対して怒りなんて、なかなか湧いてこないだろう。
 何故かと言えば簡単な話。
そんな相手に怒りをぶつけるのは馬鹿らしいからだ。
「…ちょっと新羅、一人事…聞こえてるよ…」
「それはごめんね。けどティッシュの山に囲まれて涙目の君にそんな事言われて睨まれてもあまり堪えないんだけれど」
「つーか、笑えるな」
「……シズちゃんも新羅も俺の完全復活時には覚悟しといてよね…」
「その時にはきっと静雄が返り討ちにしてくれるよ」
「人任せかよ」
「僕は喧嘩できないからね」
 そういうのは出来る人にやってもらった方が良い。だってその方が楽だし。
 というか、そのくらいやってもらってもおかしくない程には、彼……あるいは彼らに貸しを作っていると思うのは自分だけだろうか。
 …うん、多分間違いない。
 そのお陰で、もしかしたら家はまだ跡形もなく壊れているのではないのかなと、ぼんやりと思いながら新しいティッシュ箱を臨也に差し出す。
「ま、その調子じゃ悪だくみも出来ないよね。しばらく休めば?」
「仕方ないなぁ……じゃあ、その間はシズちゃんで遊ぼうかな」
「手前、休むって言葉の意味知ってんのか?」
「知ってるよ。けど退屈は嫌だからね。可哀想な俺の暇つぶしにつきあってよ」
「ケッ…誰が」
 ふい、と静雄がそっぽを向く頃。
 差し出したティッシュが臨也によって半分ぐらい無くなっているのを見て、新羅はやれやれと肩をすくめた。これは思った以上に重傷らしい。同情はしないけど。






他にも、「臨也が料理下手だったら」とかもあるんですよ。もしもの話。
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