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罪歌はひたすら静雄が大好きな感じで行きます。
まぁ実際そうですよね…?
結局姿を現す事になった杏里は、状況を飲み込み切れていなかった二人に全てを話した。
朝起きたら目の前に眠っている罪歌の顔があった事。
セルティに面倒を見て欲しいと頼んだけれどダメだった事。
仕方が無いので仮病を使って学校を休んだ事。
なのに罪歌のせいで外に出て買い物をした事。
その後に宙を舞う自動販売機を見てしまった事。
罪歌がそれを見て喜んで現場へ向かった事。
分かる限り全部の事を。
必要性や必然性は、あった。静雄は罪歌の現在の標的だし、臨也は先ほど罪歌に排除されかかった被害者だ。ならば話す必要、必然はあるだろうと杏里は判断したのである。
ちなみに話をするにあたって、四人は場所を移動した。丁度お昼時であるということもあって、某有名ファーストフード店に足を踏み入れたのだ。
そうして。
「…成程ねぇ…」
コーヒーを片手に、情報屋は軽く罪歌を見た。
「普通じゃ信じられないけど、この街ならそういう話もありかもって思えるから不思議だよね。ま、首なしライダーがいたり化け物シズちゃんがいたりするから、妖刀が擬人化しちゃっても問題ないか」
「…臨也ァ…手前、本ッ当に俺を怒らせるのが好きだな」
「え?俺何か言った?普遍的事実しか述べてないはずだけど」
「……店出たら覚えとけ」
テーブルの端をヒビが入りそうなほどに強くつかみながら、池袋最強は忌々しげに呻いた。いつの間にかこの場での昼食が臨也のおごりになっていたから、少なくとも今だけは手を出したくても出す気は無いのだろう。
律儀な人だと思いながら、杏里はオレンジジュースをちょびりと飲んだ。
「静雄、良かったら私がその人を愛してあげても良いわよ?」
そしてフライドポテトを食べながらそんな事を言い出す、罪歌はそれでも恩という物を感じてはいないようだった。おごられても、それが当たり前のように振舞っている。
そんな彼女をちょっと羨ましそうに見てから、静雄は首を振った。
「いや、ンな事したら目立って仕方ねぇだろ」
「そうかもしれないわね。日本刀を出さないといけなくなるもの」
言いながら、罪歌は静雄に擦り寄る。
……今さらだけれど、各々が座っている席について。
四人用のテーブルで、二人ずつ向かい合っているような、まぁ普通の席。それの片側に罪歌と静雄、反対側に杏里と臨也がいるのである。
ちなみに杏里と静雄が向かい合っているような感じ。
「…さっきから思ってたんだけどさ」
故に罪歌と臨也が向かい合って座っているわけで。
情報屋は、目の前にいる少女を頬を引きつらせながら見た。
「君、何様のつもり?さっきからシズちゃんにベタベタくっついちゃってさ」
「…貴方こそ何様なの。私は静雄を愛してる、だからくっついてる。それに、貴方にとやかく言われる覚えは無いわ」
「いいや、残念だけど俺にはとやかく言う気があるんだよね。シズちゃんは俺の玩具なんだから。…だからいい加減にその手を離せよ、人外」
「煩いわね…たとえ貴方にとやかく言える権利があったとしても私は従ってあげないわ」
「そう?奇遇だね、俺もアンタに従う気は全くないや」
「…うふふふ」
「…あははは」
二人は言い合い、最後に互いに不気味な笑顔で微笑みあって。
突然立ち上がって組み合った。
「うっとーしいのよ貴方!何そのわけのわからない意見!」
「それはこっちのセリフだね!てゆーか刀は刀らしく黙れ!」
「刀が黙りっぱなしだと思わないで!偏見だわ!」
「偏見っていうか常識だろ!」
「常識を超えるのが愛の力なのよ!」
「愛の力じゃなくて偶発的に二足歩行が可能になったヤツが言う言葉じゃないね!」
右手に左手を、左手に右手を合わせつかみあい、互いに押し合い圧し合い言い合いする二人を呆然と眺めてから、杏里は我関せずでハンバーガーを食べている静雄に声をかけた。
「あの……止めなくて良いんでしょうか…」
「放っとけ。やかましいのは気に食わねぇが……途中のノミ蟲のセリフの中に気にいらなねぇのもあったが…アイツのワケの分かんねぇ意見聞いてるよりは遥かにマシだろ」
「…はぁ」
言われてみれば…そうかもしれない。
二人の言い合いを意識の外に放り出す事にして、まだ手の付いていなかった自分のフライドポテトに手を伸ばす。
「あ…静雄さん、よかったらポテト、いります?」
「ん。サンキュ」
「いえ…」
横の二名はともかく、自分たちの間を漂う空気は平和そのものだった。
そして、ひたすら仲が悪い臨也と罪歌。
この二人には是非とも延々と喧嘩をしていてほしいものです。
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