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視力検査のお話です。マイスターとマリーさん。
ライル視点って実は書きやすいんだろうか。
11.視力検査
「…相変わらず視力が良いな」
「刹那もね。けど…これはどうしたら良いのかな…」
「どうしようもないんじゃないか?アンタらちょいと異常だろこれ」
「この二人は昔からこうだったが」
「マジか」
ティエリアの言葉に、ライルは呻いた。
今、自分たちがいるのは医務室だ。健康診断というのはどの組織でも必至なようで、マイスター四名もそれを受けることになったのである。そして、今は丁度マリーの手も借りての視力検査が終わったところである。
ちなみに結果は、ライルとティエリアが測定可能域、刹那とアレルヤが測定不可能域。
…有り得ないと本気で思った。2.0までで測れなかったからと、二倍の距離でやってもそれが同じというのだから本当に。
この二人が同じ人間なのかと思うと何となく気が遠くなりそうだ。
「何でアンタらそんなに視力凄いんだよ…何か訓練でもしたのか?」
「別に。ただ、そうでなければ困ったからな」
「…困る?」
「目が良くないと、些細な違和感も見つからない」
「…?それが?」
いったい何なのだろうと首を傾げると、刹那は淡々と言葉を続けた。
「違和感を抱くことが出来なければ警戒も出来ない。戦場で生き残るためには、気付く事が何よりも大切だった」
「……」
「それと、運も必要だったか」
「僕の場合はね」
刹那から引き継いで、アレルヤが口を開く。
「そういう風に変えられてしまったから、仕方ないんだよ」
彼は、苦笑交じりで。
「超兵は戦うことに特化してるから、それに関連する能力も上げられているし。あ、多分今ならマリーも同じようなものだと思うよ?」
「やってみましょうか?」
「いや…良い」
いつの間にか傍に寄ってきていたマリーが尋ねるように問いかけるのを、ライルは慌てて止めた。別に、そんなことをされても、されなくても結果が分かっているのだから。それに、こんな話の後でやってもらうというのも後味が悪い。
何とも言えない気まずさに視線を背けている間にも、その『異常者』三名の会話は続き、自然とライルの耳にそれは入ってきた。
「でも、実際僕らってどのくらいの視力なんだろうね?マリーは分かる?」
「アロウズにいたときもちゃんとした測定はしていなかったわ。人数が多い分ここよりもずさんなくらいだったもの」
「イアンにでも頼んでみるか?」
「新しい視力測定器を作ってもらうのかい?」
「けれど…機体の整備もあるのに、良いのかしら」
「合間に息抜きに作ってもらえばいい」
「…いや、息抜きになってないんじゃない?だって働いて…」
「充分息抜きだろう」
「そうね……作業から別の作業に移行するときには、確かにリフレッシュした気持ちになれるわ」
「でも休憩とか…」
「では決定だな」
「そうね」
「まずはイアンさんの意見も聞こうよ!」
わいわいと賑やかな、明るい会話。
それを危機ながら分かることと言えば、彼らがその異常なほどに優れた感覚を受け入れて生活していると言うこと。
だからこそ、過去に触れられるようなことを言われても、こうして平気で喋っていることが出来るのだろう。
強い、と思った。
同時に、激しい自己嫌悪に襲われる。
「…あー、俺、何であんな事訊いたかな…」
「バカか。ようやく失言だと気付いたのか?」
「……もちょっと前に気付いた」
「言う前に気付け、このバカが」
「…ごもっとも」
今回ばかりは、ティエリアの言葉に反抗は出来なかった。
バカバカ言われちゃってるライルさんでした。
でも、実際あの三人組あたりは視力がとんでもなくいいと思うんですよ。
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