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並中での一コマ、みたいな。了平お兄さんと雲雀さんのお話。
094:伸びた爪
同じ学校内にいれば、出くわすときは出くわす。
そんな考えを決定づけるかのように、今、了平の前にはまさに雲雀が存在したりする。見回りらしく、何の問題も起こしていない自分には目もくれずにそのままどこかへ歩き去ろうとした。それは、別に良いのだが。
何となく彼の手の爪の様子を見とがめて、了平は口を開いていた。
「雲雀、爪は切らないのか?」
「…?」
「長いだろう、それでは」
「……あぁ、これかい?普通だと思うけど」
「危なくはないのか?」
「危ない?」
どうしてかと聞き返さんばかりに雲雀は首を傾げ、了平の方はどうしてそんな反応をされるのかと疑問に思った。
そうして数秒後、何かに気付いたらしい雲雀は呆れたようにこちらを見た。
「認識の差だね、これは」
「認識の差?どういうことだ?」
「だから、君は手を使ったりするスポーツマンで、僕は普通の風紀委員だってことだね。分からない?」
「分からんぞ」
本当に分からなかったのでそう言ってやると、ふぅんと呟いただけで雲雀は背を向けてどこかへ行ってしまった。説明の意思はないらしい。
その背を見送って、その後でようやく気付く。
つまり、自分はボクシングを行うから手に関しては気を遣っているが、雲雀の場合は単なる風紀員だからそこまで気を遣う必要はないのだと言うこと、なのだろう。
それでも、仮に爪が割れたままで戦闘になったときにどうするのかと考え、納得する。
我慢するのか。痛くても。
まぁ、雲雀がそんなヘマをするとも思えない。
けれどもそういう相手ほどにそういうヘマをするのだとも思うのだが。
その辺りは考えたところで意味はないことだった。
お兄さんはある意味で最強だと思う。雲雀さんに臆することなく話しかけられるという、ね。流石晴れ。
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