式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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拍手再録です。
~走れ!~
飛んできたコンビニ前のゴミ箱をひらりとかわしつつ、臨也はとにかく走っていた。
今回は挑発は無しだ。徹夜明けで疲れているところで池袋最強に見つかると言う、どちらかと言うと最悪と言う部類に入る状況下において……そのような余裕をかましている暇は全く無い。
断言するが、そんな事をしたら絶対に死ぬ。
というか、出会った時点で死ぬ。
…故に、こうして未だに呼吸をして足を動かして思考を続けて逃げ続けられる事は、実は随分と不思議なことだったりするのだけれど。
まぁ、不思議であれ奇妙であれ何であれ、とにかく逃げられると言うならばそれで良い。
とにかく走り、彼を撒いて姿をくらます。
ただそれだけに意識を集中させよう。
そんな事を考えている間にも、当然のようにモノが飛んでくる。道路標識、ベンチ、フェンス……等々。今日はまだ珍しく自動販売機が飛んで来ていないが、それは自分たちが偶然にもそれらが無い道を走り続けているので当然の事。
無い場所からない物を取りだして投げつけて来た日には……化け物と言う認識を改めて、魔法使いとでも呼ばなければならなくなりそうだが。
それは絶対にないだろうと思いながら適当に角を曲がり…後悔した。
「うわぁ…無いよこれ」
何せ、そこには丁度……自動販売機コーナーが存在していたのだから。
運に見放されたかなとか、一瞬信じてもいない神様を恨んだが…どうしようもない。後ろからは喧嘩人形がいつもの如くの怒気を背負って走ってくるのだ。前に向かって走るしか、なかった。
彼の攻撃が一回でも当たりませんように。
静雄に背中を見せ続ける臨也はそんな事を願いながら、ひたすらに左右両側を自動販売機に囲まれる道を駆け抜ける事に専念する。
そして後ろから、ガッ、と、彼が何かを強く掴んだ時の音が聞こえたので、さらに自分の両足に限界を超える事を求めた。
走る事にしか専念していなかった臨也は知らない話だが。
静雄は目の下にクマを作っていて、実は二日ほど徹夜していたりした、のだった。
(2010/06/06)
~嘘予告:市場っぽく~
世界にはいろいろな市場がある。
例えば野菜を売る市場。例えば魚を売る市場。例えば肉を売る市場。例えば雑貨を売る市場。例えば……奴隷を売る市場。
ここは、そういった市場が全て集う場所。
そこへふらりと訪れたのは一人の旅人。
旅人は市場の中を目的も無く歩き続け、ついに、小川にかかる橋の下に辿りつく。
そこで見つけた小さな子供。
子供はぼろを纏い、古びた粗末な布を被ってじぃと、耐えるように座り込んでいた。
たった一人のその子供を、旅人は見捨てようと踵を返す。
だが、何故か子供は付いてくる。
旅人は足を速めた。それでも子供は追いかけてくる。
終に、旅人は諦めて子供に手を伸ばす。
町から出たら、どこかで捨ててやろうと考えながら。
そんな旅人の目論見は、しかし、市場からの退場を止める存在……奴隷商人の雇う用心棒が現れた事によって、妨げられる。
彼らの目的が子供だと気付いた時、旅人は……
……まぁ、普通に見捨てて逃げるけどね」
「鬼だな手前」
「だってそれが普通の反応じゃん。っていうか、旅人の俺に子供シズちゃんを拾わせようという時点でダメだよね。アウト。完全に無意味。っていうか無駄骨?」
「まぁ、俺も手前に拾われるのだけは絶対に嫌だしな。是非そうしてくれ」
「……ちょっと待った。そう言う事なら話は別だ」
「あぁ!?」
「シズちゃんがこんな簡単な事で嫌がるっていうんなら、俺はとにかく実行してあげるよ」
「止めろ!」
「で、嫌がるシズちゃんを俺が撫でて撫でて撫でまわすんだね!」
「マジで止めてくれ!つーか手前、何か割と楽しんでねーか!?乗り気じゃねぇかッ!?」
「うん、まぁ、想像したら楽しくなっちゃって。そう言う事だから……拾われてよ」
「ぜってー嫌だ!」
(2010/08/09)
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