式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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飲み会の話。さらに続きました。
「え……お酒にポカリ入れるの?何考えてるの君は」
「最終手段なんだよ、これは」
若干座った目で臨也は呟くように零した。
それを見て、新羅は肩を竦めた。事情は少々理解しているから彼がどうしてこんな事をしようとしているのかは……分かるのだけれど、だからといってどうしてここまでムキになるのかが分からない。
いや、こちらも分かってはいる。ただ、納得できないだけなのだ。
ポカリ入りの酒のグラスを二個も三個も四個も五個も作り上げていく臨也に呆れを含んだ視線を向けて、この場にセルティがいない事を少し残念に思う。いたら一緒に臨也を貶して笑い合えたのに。彼女がそれをするかはさておいて。
「……そんなに静雄を酔い潰したい?」
「もちろん。結局、また確認出来なかったわけだし」
「確認?……あぁ、自分の事をどう思ってるって言う、あの最初の質問の事?でもあれ、素直になった静雄に君が意味のない質問を重ねたせいで時間切れになったんだよね?」
「そうなんだよね。だから、次は絶対そうならないようにするつもり」
「良くやるよ……本当に」
十個目のグラスを完成させた彼に対して……最早何も言うべき事は無い。
諦めを覚えつつ、新羅は傍にあった電話機に手を伸ばした。
それからアドレス帳を呼び出して、これから臨也の開催する飲み会の犠牲者になる、可哀想と言えば可哀想な相手の名前を選択する。
受話器を持ち上げれば呼び出しのコール音が鳴り響き、十回程度鳴った後に、ぷつりとそれが途切れた。
『……何の用だ?』
「電話に出て突然そういう物言いっていうの酷いよね。名前くらい名乗ってよ」
『知るか。で、何の用だ?』
「臨也がアルコール持って来たんだけど、お願いだから来てくれないかな」
『……は?何で手前が俺にその状況でお願いとかするんだよ。ノミ蟲いんだろ?きっかけがあったら……いや、無くても俺は間違いなく暴れるぞ』
「そこはまぁ……色々と事情があってね」
濁すような曖昧さを口から出しながら、ため息を吐く。
家を破壊されるのは確かに嫌だが、それ以上に……待ち人に来てもらえずウジウジと落ち込む元同級生を見たくない。もちろん心が痛むとか同情とかいう気持からではなく、純粋に鬱陶しいからである。
「……まぁ、そういうわけだから来てね。よろしく」
そう言った後に通話を切って、ふと視線をやったテーブルの上にあった二十個のグラスによって、新羅は二度目のため息を吐かされた。
臨也は幾ついくつ作る気ですかね…。
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