式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
お疲れさまとしか言いようがない…。
61:トンネル
「…っと…ここ何処だ?」
「さぁ……どこなんでしょう…」
デスサイズとアレックスは、道に迷っていた。
とりあえずウイングを止めなければと飛び出したは良いけれど、それで町を彷徨っていたのは良いけれど……見つからなかったから先回りを、と山に向かったのが間違いだったのだろうか。まぁ、十中八九間違いだったのだろうけれど。
結果として迷ってしまったのだし。
困ったと思いながら、それでも立ち止まっていてはどうしようもないので、二人で知りもしない山の中を歩く。
「それにしても…何だろーな、コレ」
降ってきた枯れ葉を掴み、ついと視線を上に向ける。
そこには、木々の枝があった。葉もついていて、けれども、あっという間に黒ずんでいくその様は、正直あまり見ていたいと思う光景ではなかった。
生が、死に呑まれていくようで。
辺りに死が立ちこめるようで。
「………さん?デスサイズさん?」
「…あ、…ゴメン、聞いてなかった。…何?」
アレックスの言葉にはた、と我に返り、曖昧に笑みを作り上げて向けてやると、彼女はやや心配そうな表情を浮かべたまま、「何が何なんですか?」と問いかけてきた。自分の先の言葉の、続きを聞いているらしい。
突然黙り込んでは確かに気になるだろうと、苦笑しながらデスサイズは答えた。
「葉っぱが凄い勢いで枯れてってるんだけど、って事」
「ですねぇ……あ、これが超常現象というものなのでしょうか!?」
「むしろラスボス戦間近、って感じだけれどな…」
「あ、ラスボスさんが傍にいるんですか?」
「んー、多分」
「じゃあ、もしかして」
と、アレックスはついと人差し指で前方を指さした。
「あれをくぐったらボス戦、なんてことがあるんでしょうか」
前方の、黒い穴を。
それは、恐らくトンネルなのだろう。注意してみたら何となく空気が流れているような感じもする、気がするから、少なくともどこかに繋がってはいると思うのだ。
ぐるんと周りを見てみても、人の気配はないし人が来た気配もない。
どうやら、先回り作戦は成功したようだった。
……代わりに、とんでもない厄介事が目の前にあるわけだけれど。
先回り作戦なんてやってしまえば、どうしたってこの状況になっただろう事は分かっているけれど、改めて目の前にしてしまうと想像とは違った思いを抱く。何もせずにここで人が来るのを待てばいいと思っていたのだ、けれど。
さぁ、どうしたものか。
うーん、と腕を組んで考えこんでいると、アレックスも同様にし始めて、二人してトンネル前で考え込む。端から見たら随分と不思議な光景だろうなぁ、と他人事のように思いながらも。
そうして、しばらくして。
「…お前らは何をやっとるんだ」
「あ、ゴッド」
「大会はどうしたんですか?」
「デビルガンダムが出てそれどころじゃないぞ」
「へぇ…」
突然現れたゴッドは、どうやらデビルガンダム本体を倒しに来たらしい。どうせ、事態が起こって直ぐに会場から走り出でもしたのだろう。…物凄く簡単に想像できたのは、身の回りに一人ほど似たような思考回路がいるからだろうか。
しかし、それにしても、彼がここに現れたと言うことは、このトンネルの先にラスボスがいる可能性は極めて高いと言うことになるのだろう。ゴッドだって確信があってこちらに来たわけでは無かろうが、こう言うときに彼がここに来たという事実が今回は問題なのである。何だかんだと言って、勇者不在だろうとこれは『RPG』なのだから。
これで、ほとんど百%の確率でトンネルの先にいる、ということになるのだ。
「援軍、なんて呼ぶわけ無いよな…」
「そんなもの不要だ!」
「三人で頑張りましょう!」
「行くぞ!」
「はい!」
とことん乗り気な二人に、デスサイズは肩をすくめて、トンネルに入る二つの背を追った。
そう、勇者不在でラスボス直前っていうあのすみません状態なんですよ。
PR
この記事にコメントする