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最近暑いですよね、なアロウズのお話です。
15.缶コーヒー
「あー、暑……何でこんなに暑いのよ……」
「全くですね……」
「……あぁ」
アロウズの船にて。
リヴァイヴたちイノベイター三人組は、地上の暑さにやられていた。
いつもならば空調完備であるこの船で、そのような事態など起こるわけも無い。けれども今この瞬間はメンテナンスを実行していて、大切な制御に関する事以外の全ての機能を停止してくれているらしく。
結果として、少しでも涼をと甲板に出てきた自分たち三人が出来上がったのである。
「まぁ……この暑さからあと三十分で解放されると思ったらまだ、マシと言えばマシなんでしょうかね……」
「何でそうなるの……?今でも十分地獄じゃん……」
「いえ……ですから、これがメンテナンスでよかった、と言う事です。仮に空調を制御する機械が壊れた、なんて事態に陥ったらこれ以上の地獄が待っているわけですし」
「……成程」
「でもさー…やっぱり今も地獄じゃん?どっちにしたって『今』が変わってくれないと…」
甲板にあった日陰にうつ伏せに寝転んでいたヒリングが呻くように言った。
その言葉に異論はないけれど……それにしても、その恰好はどうにかならないだろうか。確かに日陰の甲板は冷たかったけれど、そこまでして涼を奪おうとするのもどうかと思う。っていうか一般兵に見られたらどうする気だ。
イノベイター、あるいはライセンス持ちだという自覚を持って行動して欲しい物だと、思わずため息を吐く。……リボンズに言いつけてやろうか。
暑さによってイライラを倍に増しつつ、リヴァイヴはヒリングの傍にしゃがみこんでいるブリングに声をかけた。
「ブリング、そんなだらしない人に風を送ってやる必要はありません」
「あーもー、良いじゃんか。ブリングが自分からやってくれてるんだし」
「いや……ヒリングが扇げと…」
「細かい事は気にしないのー」
「細かくありませんよ?全然細かくありませんからね?……やっぱりブリング、その手は止めてください。無理矢理やらされているのなら、やる必要もさらに無くなるでしょう」
「で、何?今度はリヴァイヴが扇いでくれるの?」
「自分で扇いでください!」
「何を騒いでいるのかな?ライセンス持ちの諸君」
と。
聞き覚えのある声がして、リヴァイヴはちらりとそちらに視線をやった。
「暑いからと言って喧嘩は良くないぞ」
「ミスター・ブシドーですか……ところで貴方、そんな所にいて暑くないんですか」
「心頭滅却すれば火もまた涼しと言うではないか」
さんさんと太陽が降り注ぐ日向に立ち、アルミ缶を片手に持っている仮面の男は、当たり前のようにそう言い放った。
それを聞いて、リヴァイヴは眉を寄せる。
一体どこまで本気なのだろう……この武士道。その辺りが、全然読めない。理不尽なわけのわからなさ、というのにはリジェネやヒリングとの付き合いで割と慣れていたと思っていたのだが、上には上があるのだと言う事をこちらに来て教えてもらった気がする。他にも、底抜けの馬鹿というのが実在することも教えてもらったし、実際に人間に会うことも大事なのかもしれない。
いや、だからといって理不尽さの具現の様な相手に接触したいと言うわけではないが。
出来れば早く接触を断ちたい……そんな事を思いつつ、リヴァイヴは口を開いた。
「…で、何か用ですか?」
「いや、賑やかに騒いでいる君たちを見て、一人という事実の寂しさを実感したのだよ」
「え、アンタもしかして寂しがり屋!?」
「何を言う。私はセンチメンタルな乙女座の戦士だ!決して寂しがり屋ではない!」
「貴方、もしかしなくてものぼせてますよね!?」
「だからおのぼりさんではないと言っているだろう!」
「言ってないですよ!」
のぼせている……これはもう、間違いようがなかった。
放っておいても良いのだが、あれでも一応エースパイロットとか呼ばれる人種ではあるし、いざという時に使い物にならなくても困る。
「仕方ないですね…ブリング、彼を日陰に運びましょう」
「……あぁ」
そうして二人がかりで運んで分かったのは。
彼が持っていたのは缶コーヒーで、なおかつ『あったかい』代物だという事だった。
実は暑くて意識も定まっていないだろうブシドーの話でした。
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