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ディーノは簡単に誘拐されそうだよね、とかいう。(部下いない時)
確かに、コイツの傍にいたら厄介事が舞い込んでくるだろうというのは予感していた。仮にも次期キャバッローネのボスなのに全くの役立たずという意味で、傍にいれば必ず何か起こるだろうとは思っていたのだ。
例えば弱いくせにギャーギャーと煩い同じ学校のとか。
だが、だからといって。
「テメェ大人しく誘拐されてんじゃねぇよ」
「えへへ…」
「褒めてねぇぞ、この馬鹿」
腕を組み、トラックの床に転がされているディーノの頭をスクアーロは蹴りつけた。
本当に、この馬鹿ときたら。何の抵抗もされないままに普通に縄にかかるなど普通は有り得ないだろう。もっと叫ぶとか喚くとか暴れるとか殺すとか、何らかの抵抗手段はあったはずなのに…何もしない、などと。
流石はボンボンというべきなのか。
ちなみにどうして自分がいるかというと、連れ去られるディーノの傍にいたからである。最初は自分を見てどうしようかと悩んでいたらしい大人たちも、素直に自分が付いていく姿勢を見せたら何もせずにディーノと同じ荷台に乗せた。縛られていないのは、一応人質がいるから手は出さないだろうという馬鹿げた判断と、こちらに近づくのさえも怖いという理由から、だろう。見たところ雑魚しかいないようだし、その感想はつまらないのだが仕方ないのかも知れない。
銃なんてあったところで、撃たれる前に切ればどうにだってなるし。
あんな連中が使う武器を恐れる気はない。
「ていうかさ…何で俺なんて誘拐してるんだろ。誰かと間違ってるんじゃないかな」
「…んだと?」
その言葉に、一体自分はどんな表情をしたのだろう。
監視のためだろう、同じ荷台に乗った銃を持つ大人たちが酷く怯えた表情をしていることから、わずかばかりの推測は出来るのだが、しかし。
…それはともかくと、スクアーロはあまりの言葉に耐えられず勢いよく立ち上がった。もちろん右足の裏はディーノの頭としっかりと接している。本当は剣でも突きつけたいのだが、流石に監視のいる前でそれは流石にマズイだろうと我慢。
それから、叫ぶ。
「んなわけあるかボケェッ!次期キャバッローネファミリーボスが何言ってやがるんだ、あ゛ぁ!?」
「…ごめんなさい」
「謝って済むかッ!」
「いや本当にごめんなさい」
「ったく…」
本気で謝っているようだと認識して、スクアーロは足をのけた。
それから、ため息。
「少しは自覚してやがれぇ…」
「うん…」
どこか歯切れの悪い返事に再び足がうずいたが、二回目はやりすぎだろうとそのまま腰を下ろして再び腕を組んだ。
ふ、と視線を巡らせれば、大人たちはどこか唖然とした表情を浮かべていた。
何があったのだろうか。予想外の物を見たような、状況に取り残されているような表情を浮かべて固まっている、というのは一体。そのような状態の彼らなど、一呼吸もしないままに全員倒せてしまうのだが分かっているのだろうか。
まぁ、気にしても意味も利益もない話だ。
スクアーロはそれらすべてを思考の外に追い出すことにして、荷台の壁にもたれて静かに瞳を閉じた。完全には眠らないが、多少の体力は温存するために。
外の様子が見えれば、後帰るときに楽なのだが。それは結局荷台の壁に阻まれ天井に囲われ、不可能だからどうしようもない。
帰るときは、少し苦労しそうだ。
自分は良いのだが、さてあのへなちょこは、どこまで泣き言を言わずについて来るか。
…今から考えるだけで憂鬱だった。
「…あれ、スクアーロ眠るの?」
「眠りはしねぇよ。体を休めるだけだぁ」
「そう?じゃあ俺も寝ようかなー」
「…脳天気なガキが」
「ガキって、スクアーロもガキじゃん」
「テメェよかマシだぁ」
そう言って捨てて、今度こそ全ての感覚を外側に追い出す。
誘拐、というくらいだからしばらくは身の安全は保証されるだろう。問題はその後であって、果たして彼らがどのような手を使ってくるかが問題になる。
が、その点も自分ならどうにか出来るだろう。
どうせ雑魚ばかりなのだし。
退屈な仕事になりそうだと、欠伸をして意識を浅い闇の中に沈めた。
鮫が縛られない理由=人質いるから動かない:近づきたくない=3:7の割合。
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