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同世界なのか別世界なのか。曖昧なお話。
17.文庫本
ゆっくりと目を開くと、もうそこには暗闇が広がっていた。
何時の間に眠っていたのだろうかと軽い伸びをして、目を擦る。時計を見れば午後七時で、どうやら五時間以上ここで眠ってしまっていたらしい。
椅子から腰を上げながら、息を吐く。
何だか、とても嫌な夢を見ていた気がする。どんな内容かと問われると、それは夢だからか既に曖昧になってしまっているので、答えようがないのだが……それでも、それが嫌な何かだったと言う事は何となく、覚えていた。
正確に言うと、嫌な何かだったという事以外を思い出したくないのだ。それ以外を思い出したら、何だか、自分が自分ではなくなってしまいそうな気がして、ワケの分からない吐き気を覚える。けれども同時に、そこには静かな幸福も存在している様な気がして、思い出せない事に何故だか一抹の寂しささえも感じた。
こんな感情を抱いたのは初めてだと、手に持ったままだった、小さいが厚みのある一冊の本を眺める。
これが、今回眠ってしまった原因らしい。本を読んでいる間に眠くなるなんて一体何年前の話だと思ったが、今日の昼時のような気候なら仕方がないかもしれないと、穏やかな昼下がりの事を思った。
そういえば、この本の内容が戦争に関する物だった。主人公が戦争に身を投じ……なんていう、話だったと思う。最終的にどうなるかは、まだ最後まで読んでいないから分からない。主人公は死ぬのかもしれないし、戦争は終わるのかもしれないし、いがみ合いは続くのかもしれない。
嫌な夢を見ていたと言うのは、もしかしたらこんな話を読んでいたせいかもしれない。
だからといって、この本を読むのを止める気にはなれなかった。もう既に半分以上読んでしまっているから続きが気になる事もあるし、この本と夢に関係は無いのではないかという思いがあったからだ。もちろん、理由なんて分かりもしない。
全く、理由も内容も分からないなんて、面倒な夢だ。
仕方が無いので考えるのを止めて、赤い髪をかき上げてから家の中に戻った。
別ブリングさんのお話。夢はイノベイター的内容で、死んでしまうあたりまで全部。
こんなの夢に見たらそりゃ、困りますよね。
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