式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
そういえば梅雨ってあけたんですか?あけてないんですか?
「……決着?」
「うむ」
政宗が思わず問い返すと、元就は肯定を返した。
「いい加減、馬鹿鬼の相手も疲れたのでな。この勝負で全てを終えようと提案したのだ」
「ふぅん……やろうとやるまいと同じ気がするんだけどね」
書類をとんとんと綺麗に整えながら半兵衛はどうでもよさげに言って、視線を巡らせた。
「で、浅井君は?」
「アイツは校内取り締まりに出てった」
「……いつもの事とはいえ本当に団体行動に向かない人だよね、彼。協調性が無い」
「だな。……何でアイツ副会長なんだろうな」
「それを言うなら生徒会長さんだってそうじゃないか」
「あぁ、そういやそうか」
「……貴様ら我を何だと思うておるのだ」
さらりと零された半兵衛の言葉に手を打つと、どこか不機嫌そうな声が室内に生まれた。
思ったよりも随分と刺々しいそれだったが、彼には自分たちを徹底的に叩きのめそうという考えはないだろうと言う確信があったので、肌に痛いそれをどうにか流す事が出来た。受け流せたのはまぁ、それだけが理由では無いのだが。
慣れと言うのはなかなか素晴らしい物だと思いながら、頬杖を突く。
「話戻すぜ。日時と競技は何だよ」
「戻されるいわれが無いが……まぁ、良いか。……競技はテニス、日時は今日の四時ぞ」
「……外、」
「分かっておる。雨であろう」
何か言いたげな半兵衛の言葉を遮り、頷きを返して元就は窓の外を窺った。
政宗もつられてそちらを見れば、瞳に映るのはバケツをひっくり返したかのような土砂降りと、厚く塗りこまれたかのような黒寄りの灰空。
……この中でテニスをやろうなど、自殺行為に等しい行為だ。
流石にこれでは元就も、この場にいない元親も、どちらも決着とやらを付けるのを諦めるしかないだろう。というか、普通は諦める。元親はともかく元就は基本的に冷静だから、元親が止まらなくても元就なら止まるはず。
けれども事が事だけにそう言いきってしまう事も難しく。
敵前逃亡なんてしないとか言い出したらどうしようと、ほんの少し不安を覚えながら生徒会長の方を見ると……理由は分からないが、彼は笑っていた。
その笑みから何とも言えない物を感じ取り身を引く政宗と、訝しさから目を細める半兵衛に、元就は表情はそのままに言った。
「何を考えているかは分かるが、案ずる事は無い。既に手は打ってある」
彼の言葉の意味とその結果が生徒会室を訪れる、それは五分前の事だった。
何があったのかと言うと、チカさんが雨天中止を申し込みに来るという。
仕掛け手伝い人は佐助さん。
PR
この記事にコメントする