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タイトルの話ですが。
「お前」じゃなくて「お前たち」の方が良かったかもしれない(内容的に)。



 幸村の気持ちを完全に浮上させるべく訪れた甘味処
 そこでばったりと出くわしたのは、どこぞの風来坊だった。
 彼はきょとんとした表情を浮かべ、夢吉の頭を撫でていた手を止めた。
「およ?幸村に佐助?こんなとこで会うなんて奇遇だねぇ」
「うむ。慶次殿はどうしてこのような所に?」
「あぁ、そいつはね」
 訝しげな幸村の言葉に、慶次はみたらし団子にぱくつきながら答えた。
「右目さんにさー、追い出されちゃってね」
「……そっちもそういうクチなんだ?」
 彼の場合は何が理由で追い出されたのだろう、賑やか過ぎて彼の調子について行けないと言うところだろうか。こんな所まで来たって変わらない彼の纏う空気に呆れながら、佐助はそう分析した。そして、案外彼がめげていない事にちょっとだけ心の中で拍手を送る。小十郎に何と言われたか知らないが、どうせあの右目の事だから幸村の時みたいに衝撃が与えられそうな言い回しを選んだに違いないのに、この明るさはちょっと称賛に値する。
 そしてそれは幸村も思ったらしく、自分とは違って素直に感情を全部露わにしてしまう主君は、酷く目を輝かせて風来坊の事を見ていた。
「慶次殿は凄いでござるな!某など片倉殿に立ち入りを許されなかった時、恥ずかしくも沈み切ってしまったと言うのに」
「へぇ?まぁ幸村なら有り得そうだけどな。あ、元親復活してた?」
「全然。旦那連れて門の傍離れた時も、全く微動だにしなかった」
 あれは重症だったなぁと、かの鬼の様子を思い返しながら佐助は幾つかの甘味を注文した。一応目的はそれだし、何も頼まず喋っているだけなのに店に居座っているなんて、店の人にも迷惑だ。
 幸村ともども慶次の前の席に隣り合って座って、そこでふと、違和感に気付く。
 慶次の周りに女性がいない。そこまで甘党では無いはずなのに、風来坊の目の前には有り得ないほどにたくさんの甘味が並んでいる。
 それを見て、思わず。
「……あのさぁ、ちょっと一言、良い?」
「ん?何だい?」
 応じながらも次の甘味に手を伸ばす慶次に、佐助は心の底からの本心を口にした。
「アンタ、やっぱり凄いわ」







大丈夫そうに見えて、実はダメージを受けている慶次さんのお話でラストでした。ダメージ受け過ぎて、女の人と話したりする気分にさえなれないっていう。たくさんの甘味は、あれです。やけ食いです。
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