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随分と久方ぶりな気がする恋愛事情です。
「ただいま、杏里。帰ったわ」
「…あ……罪歌」
杏里の家に戻ると、出迎えた家主は困ったような表情を浮かべていた。
そんな彼女の後ろ側に広がる光景を目にとめて、臨也は息を吐いた。……あぁ、日中、どうして自分はあの二人組を回避できなかったのだろうか。
何せ、彼女の家には狩沢と遊馬崎がいたのである。流石にマイルとクルリはいなかったけれど。ということは、多分、アパートの前に止まっていた見覚えのあるワゴンには門田が乗っているのだろう。
「…いるんだね?」
「…はい。罪歌に会いたいって…」
「……?何がいるんだよ」
「そこから見えない?ドタチンと一緒にいる二人組だよ」
「狩沢と言う人と遊馬崎と言う人ね?…よくもまぁ、ここまで来たわね」
「七時までに帰らなかったら帰るって言ってたんですけど……」
言われて、思わず腕時計を確認。
……六時五十五分。
「…あと五分遅かったら……」
「あ!うたやんだ!」
悔んでいると、ふいに奥から声が聞こえて来た。当然今の声は狩沢の物である。
それを聞いて目を白黒させたのは静雄だった。
「う…うた?」
「あぁ…知らなかったっけ。罪歌の偽名だよ。歌子。っていうか…どうすんのこれ」
「……逃げましょう、貴方の事務所にでも!」
とっさに浮かんだ言葉を口にしたのか、どこか焦っている罪歌の言葉に。
臨也は思わず、ぽんと手を打った。
「あ、それ良いかも。よし、じゃあ行こ!」
「は?え…おいっ!」
状況に追いついていない静雄の腕をつかみ、そのまま引っ張ってアパートから……否、杏里の部屋から逃げ出す様に臨也は走りだした。当然、その後ろを罪歌が追いかけてくる。
「杏里ちゃん、その二人はしばらく頼んだから!」
「え…?あ……はいっ!」
慌てて頷く彼女に後を任せて、そのまま走る。
タクシーのある大通りまで逃げきれる事で成り立つ、自分たちの勝利を目指して。
あのオタク二人組は強いですよね。
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