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続いてしまった臨也さんの目指せうわさマスター!なお話です。
「……突然呼び出したりして一体どうしたんですか、臨也さん」
「あはは、そう身構えてくれなくても良いよ。簡単な話だからさ」
無害に見える笑みを浮かべる情報屋を前に、正臣は警戒心を緩めることなく、じ、と睨むような視線を送っていた。
簡単な話、とか言われてはいそうですかと頷けるわけがない。この情報屋が口にする言葉は極端な話、何も信じられないのだから。というか、信じてはいけない。たとえその情報がどれほど正しい物であったとしても、それを与えてくる相手がどす黒い悪意の塊ではどうしようもない。
そんな視線を受けて、臨也は肩をすくめる。
「嫌だなぁ、本当に『簡単な話』なんだから」
「……何、っすか?」
「頼みがあるんだよ」
と、ほんの少し真剣な表情を作りだした情報屋は、がし、と正臣の肩を掴んだ。
「理由は聞くな。事情も聞くな。何も聞くな。とにかく俺に対して負けを認めて、何か適当に負けた証を俺にくれる?」
「………………は?それって、」
「おぉと!理由は聞かないでって言っただろ?」
正臣が思わず投げようとした問いを遮ることで押し返し、臨也はニコリと笑う。ただし今回は無害そうとかいう言葉が逃げていくような、表情の奥に何かを隠しているような笑みだったのだけれども。
……今回は、本当に素直に事を済ませるべきかもしれない。
この人相手に負けだの勝ちだのは殆ど意味が無いと思いながら、とりあえず偶然ポケットに入っていた黄巾賊時代の黄色いスカーフの予備を取り出し、差し出す。
「これで良いですか?」
「うん。良いよ良いよ、問題無い!ありがとう正臣君!君はもしかしたら今この瞬間、俺の恩人になったかもしれない!」
「……そんなに喜ぶ事ですか?」
「喜ぶよ、喜びもするよ!このどこの罰ゲーム?みたいな時間から解放されるまでの期間がこれで減ったかもしれないんだから!」
「えっと……罰ゲーム?」
「だから、詳しくは教えないよ。あえて言うとしたらそうだね、シズちゃんが天の声なんて受信しちゃったせいで俺に迷惑がかかってるってことかな」
「……」
天の声って何ですか、と言いたかったがどうにか堪えた。そこは何が何でも聞いてはいけない箇所だ、間違いなく。多分、口にしたりした瞬間にナイフが飛ぶ。言っちゃいけない事ってあるでしょうとか笑み付きで。ただまぁ、流石に『天の声』なんて単語が出ては自分だって同じような気持ちを抱くわけであり。
何も聞かなかったのだと自分に言い聞かせながら、渡した黄色い布を持って楽しそうにくるくる回る情報屋を眺めた。
眺めていたら、突然上から降ってきた誰か『たち』の靴の裏が臨也の後頭部に直撃した。
「え…えぇぇ!?」
「おっしゃぁ!一発命中っ!」
「違うよろっちー!私もやってんだから二発!クル姉もやってるから三発だよっ!」
「……違……」
「あ、悪い悪い。忘れてたわけじゃねぇんだけどな」
「大丈夫大丈夫。気になんてしてないも―ん!って……ありゃりゃりゃりゃ?もしかしてイザ兄死んだ?うわ、死んじゃった?ぴくりとも動かないんだけど」
「……冥……」
「な……何なんだ?」
倒れ伏した臨也の背中でわいわいとはしゃぐ三人組を見、正臣は唖然としながらも呟く。何なのか、いや、誰なのか。それは分かる。To羅丸のリーダーと、臨也の双子の妹だ。ではその三人がどうして一斉に情報屋に蹴りを食らわせたのか。…わけが分からない。
そしてわけが分からないながらに零した言葉が問題だったのかもしれない。
三人の目が一斉にきらりと光り、こちらを向いた。
「なんだかんだと言われたら!」
舞流がテンションも高々に叫ぶ
「……答……情……」
対称的な口調で舞流が、呟くように言った。
「池袋の破壊を防ぐため!」
「……街……守……」
「愛と正義の悪を貫いちゃうラブリーチャーミーな敵役!」
「…狂…」
「舞流っ!」
「ろっちーだぜ!」
「………世……奔……」
「ホワイトホール!白い明日が待ってるよ!あ、でもやっぱり白く無くて良いよ!」
「どっちだよ!ていうか六条さん一言しか喋ってねーしそれってポケモ、」
「正臣君!それ以上は言ったらダメだ!」
ついつい平時のノリで突っ込もうとすると、がっ、と顔を上げて臨也が叫んだ。表情の中には真剣さ、ではなくて必死さがある。
…成程、事情とか隠したかったのはこういうことか。
そんな事を思い、正臣は再び千景に後頭部を踏みつけられた臨也を見て、息を吐いた。
R団(と書いて「ろっちー団」と読む)の三人を出したかったがゆえに書き始めた気もする、うわさマスター臨也。とりあえず目的は果たせました。あ、R団の名乗りは初期のです。
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