式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
臨也さん一人語り。その中にシズちゃんの影があるのはもうどうしようもない。
063:滅びた街
この街は壊れ続けていると、人ごみをすり抜けながら思ってみる。
実際、壊れかけているのだろう。原因の一つである自分にこんな風に思われては、池袋という街もいい加減、文句の一つでも言いたくなろうが。そう考えて、少しだけ眉を寄せる。街に文句を言われるだなんて、まるで九十九屋の言い分だ。
そんな事はどうでも良いだろうと首を振って、ボロボロの街について思いを馳せる。
多分、昔はここまで大変なことにはなっていなかっただろう。なのに街に自分が、化け物が、人外が、集団が、妖刀が、とにかく色んなモノが現れてしまったせいで、色んな事態が引き起こってしまったせいで、ここまでガタガタになってしまった。
その内、この街は崩壊するだろう。
もちろん地図上から『池袋』の二文字が消えるわけではない。ただ、街の在り方が大きく変わってしまうだろうと、情報屋は予測するわけである。そして実際、そうなる予兆はすでにちらほらと街のあちらこちらで出現しているのだ。
街は滅びる。
これは決定事項。
では、滅びた後に出来た新しい『街』はどのような街なのだろう。
混沌とするのを止めた、整然とした街なのだろうか。受け入れるのを止めた、排他的な街なのだろうか。追い出すのを止めた、牢獄の様な街なのだろうか。
何にしたって、雰囲気が今と同じという事はないだろう。
果たして、そんな街に対して彼らはどんな反応を見せるだろう。ちなみに自分はというと、そんな事を全然気にしない自信がある。自分が見たいのはあくまで人間の姿であって、街が変わってくれると言うならむしろ万々歳なのである。状況が変われば人も変わり、つまり街が壊れると言う事はそれを観察できると言う事だから。
自分の様に、全く気にしない人もいるだろう。微妙な変化に戸惑って、うろたえる人もいるだろう。変わってしまった街に嫌気がさして、いなくなる人もいるかもしれない。
ならば、人ではなく化け物である彼はどうだろうか。
出来る事なら街が壊れる過程の中で、彼も壊れてしまえば良いとは思うけれども、現実、そううまくは行かないだろう。
だから考えてみる。
けれども浮かんでくるのは自分をいつものように追いかけ回す池袋最強の姿で。
きっと中身が変わろうとこの街が『池袋』である限り、彼はずっと『池袋最強』と呼ばれ続けるのだろうと思って、息を吐いた。
あぁ、最強でも何でもいいから、早く死んでくれないものだろうか。
あるいは殺されてくれないかなぁ、と心の底から思ってる臨也さんです、きっと。
PR
この記事にコメントする